ニュース 2002年6月14日 11:09 PM 更新

「ヴァナ・ディール戦記」その2
 〜たかがゲームでPTSD?の巻

モンスターとのバトルはFF XIの華! ただし、戦闘時には十分な注意が必要だ。突然遭遇した強敵から、あなたは逃げきれるか? そして、逃げ切れない仲間を、救うことはできるのか?

 注目のオンラインRPG「ファイナルファンタジー(FF)XI」にZDNet記者が挑む! 不定期連載企画「ヴァナ・ディール戦記」が、めでたく2回目を迎えた。謹厳実直にゲームにいそしむ記者が、今日もFF XI内のリアルな空気をお伝えしよう。

 今日はFF XIの中でも、特に「モンスターとの戦闘」に焦点を合わせてレポートしたい。突然の襲撃や、仲間との協力、そしてプレイヤー同士思いやりあう心……モンスターバトルには、ドラマがいっぱいなのである。


真夜中の恐怖

 前回の終わり、“パーティを組まないか”ともちかけられたシーフの「ZDNet」だが、その時は残念ながら時間の都合から、丁重にお断りしてしまった(ゴメンナサイ)。その後は、1人サンドリア王国付近で、野兎など比較的弱い敵を狙って、無難に戦闘を重ねた。

 そのうち、戦闘にもだいぶ慣れてきたため、少々の遠出を思いつく。城から道なりに歩いて、どこにたどり着くか試してみよう……。ちょっとした、小旅行である。

 そんなわけで、あてもなく歩きだした。はじめのうちは、気分も爽快だったものの、あたりが暗くなるにつれ、心細さがつのる。FF XIでは、夜になると極めて視界が悪くなり、ほとんど何にも見えない。さらに、不安に追い討ちをかけるように、あたりをうろつくモンスターをクリックすると、「強い」と表示されるケースが増える。

 しかしここで、モンスターを仕留めたばかりのプレイヤーに遭遇。ほっとする思いで、つい「強いですね」と話しかける。相手も丁寧なものごしで「いやあ、まだそんなにプレイしていないんですが……」。

 事件はそのとき起こった。闇をつんざく悲鳴とともに(注:もちろん実際のゲームでそんな音はしない)「モンスターにやられる! 助けてくれ!」という叫び声が! ほぼ同時に、周囲が騒がしくなり、プレイヤー達が集まりはじめる。

 話していた相手も「ちょっと待ってね」と断り、意を決したようすで走り出す。あとについて走るZDNet。気分はさながら、記者そのものである。

 やがて襲撃犯とおぼしきモンスターを、複数のプレイヤーが囲んでいる場面に出くわした。呪文をとなえるものあり、技をしかけるものあり。見事、モンスターは力尽き、ばったり倒れた。友情のなせるわざといえる。

 「みんな、なんていいヤツなんだ……」。美しいものを見た思いで、ほほを流れる熱いものを感じる記者。しかし、毎回このようにうまくいくわけではない。


仲間を救えなかったケースと、自責の念

 その後、記者自身、何度かモンスターから逃走中のプレイヤーを目にした。しかしこれを助けることは、実はなかなか難しいのだ。

 まず、両者とも走っているから、自分も追いかけていって、とっさに適切なコマンド入力を行わなければいけない。また、そうしたケースの敵は、ある程度の強さを持つ場合が多いため、逆にこちらがやられる懸念がある。

 さらにいうと、キャラクターのジョブ(職業、『ZDNet』はシーフを選んでいる)によっても救出成功の率は変化する。たとえば、魔法を使えるキャラクターなら、逃げているプレイヤーに回復魔法をかけることが考えられる。また、敵を足止めする魔法を使って、プレイヤーが逃げる時間を稼ぐというのも手だ。

 雄々しい戦士なら「挑発」という技を使って、敵の注意をひきつけることすらあると聞く。だが、シーフはいかんせん、そうした手段にかける。そんなわけで、救出に失敗しては「オレは……守ってやれなかった……」と、FF VIの主人公、ロックばりに嘆くことになる。たかがゲームながら、ショックからPTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥りかねないのである。

救われる方も、大変

 もっともこの場合、救出されるほうも実はたいへんらしい。先日もあるネット上の掲示板で、こんな話を目にした。

 「モンスターに襲われているプレイヤーを助けようとしたが、無事助かったかどうか最後まで確認できなかった。その後、そのプレイヤーに確認したところ、『ありがとう、おかげで助かりました』と笑顔を見せた」

 「だが、よくよくそのプレイヤーを見ると、獲得した経験値が下がっていた(戦闘不能に陥ると、経験値が下がってしまう)。どうやら、こちらに気をつかって、助かったことにしてくれたらしい……」。

 同じプレイヤーとして、涙なしには聞けない。他人を守ってあげられるよう、オレは強い男になってやる! と心に決めて、今日もZDNetは修行にあけくれるのだった(仕事もしようね〜 by 副編集長)。

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[新崎幸夫, ITmedia]

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