レビュー:ホームサーバPCの実力[NEC編]
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Pentium 4/2AGHz SmartVision搭載 DVD-RAM/R/RWドライブ 17.5型ワイド液晶ディスプレイ 実売価格:33万円前後 |
VALUESTAR TXをホームPCサーバと呼ぶゆえんはどこにあるのか? 当然ながら、ハードウェア面で目立ってそういう節が見られるわけではない。PCIスロットにワイヤレスLANカードが装着されているが、バイオHSの一部モデルのようにワイヤレスLANルータをそのまま“内蔵”したわけではなく、それだけでは、ワイヤレスLANアダプタ内蔵のノートPCと特に変わるわけではない。付属品の中には「ホームネット活用Book」という小冊子が含まれており、ホームネットワークで何ができるのかを解説はしてくれる。また、本体内にインストールずみ(HTMLベース)の「ホームネット簡単設定ツール」を使って、ホームセットワークを設定する手順も書かれている(ただし、「ホームネット簡単設定ツール」は特定の主要プロバイダでADSL回線を使っていて、ADSLモデム/ルータがこのツールに対応している場合にしか利用できない)。
しかし、「ホームPCサーバ」としての特徴を形作っている部分を探るとするなら、それはやはりハードウェアとソフトウェアの組み合わせ方ということになる。ほかのVALUSTARと比べて、特に変わったものを用意したわけではないが、ホームネットワークの活用に必要なものがすべてピックアップされているのだ。その中でも大きなポイントとなるのが、ネットワークTV機能を利用できるSmartVisionハードウェア/ソフトウェアの採用と、自宅のパソコンに外部からアクセスして、各種操作が可能な「ドット・ゲートサービス」の提供だろう。
VALUESTAR TXに搭載されているTVチューナーつきハードウェアMPEG2リアルタイムエンコーダ/デコーダボードは特に新しいものというわけではない。それでも、いちおう簡単に印象を述べておこう。SmartVisionシリーズはNECがかなり以前から提供しているTV視聴・録画アダプタで、PCIカードタイプだけではなく、USB接続の外付け機器タイプでも展開している。このマシンに装着されているのは、ゴーストリデューサ、3次元Y/C分離、TBC、デジタルノイズリダクションを搭載し、外部へのビデオ出力にも対応したPCIカードタイプだ。
以前のSmartVisionハードウェア/ソフトウェアでは、起動やチャンネル切り替えにもたついたり、動作に不安定な面が見受けられたこともあるが、現行製品ではその点に関してはかなり改善されている。
起動には5秒ほどかかり、ディスプレイ全体より一回りほど小さいテレビ表示エリアと下部に基本操作ボタン類が並ぶノーマルモード画面が現れる。モードはほかに「アドバンスト」「スリム」「フルスクリーン」がある。SmartVisionでテレビを視聴する場合、プレイモードタイプとして、「ライブ」「タイムシフト」を画面右側のタブで切り替えられる。「タイムシフト」モードにしておくと、設定した時間(1〜90分)だけ最新部分をバッファしつつ表示するので、現在放送している番組を観ている際でも、「一時停止」「巻き戻し」「変速再生」といった操作が可能だ。ただし、ハードディスクには常にビデオの書き込みを行っていることになるので、それが気になる場合は「ライブ」モードにしておけばいい。同様に、画面左側には「TV」「VIDEO」「外部入力」というタブが並び、それぞれテレビ視聴、録画ずみの番組を再生、外部入力映像表示というモード切り替えになる。
番組表はADAMS-EPGを使う。テレビ地上波に乗せて送られてくるデータで、配信は2時間おきなので、導入時にはしばらく辛抱が必要だが、それ以降は設定したスケジュールに沿って、勝手に落としておいてくれる。ダウンロードした番組表はSmartVisionソフトウェア上で閲覧でき、しかも、それを利用してテレビ視聴時に観ているチャンネルの「現在」と「次」の番組タイトル+簡単な内容を表示してくれるので、目的なく気ままにチャンネルブラウズする際には非常に便利だ。さらに、「詳細」ボタンを押せば、番組内容がポップアップする。
さて、かんじんのネットワークTV機能を見ていこう。これはバイオのPicoPlayerと同じく、VALUESTAR TXのハードディスク内に用意されたインストーラをクライアントPCへとコピーして、SmartVision/PLAYERというソフトウェアを導入して利用する。SmartVision/PLAYERでは、対応OS(Windows Me/XP)やCPU(Crusoe不可)など動作環境にいくらかのレベルを要求し、また、やや動作に不安定な面も見受けられた。しかし、本体側のSmartVisionとほぼ同じ見かけ・機能のソフトウェアを提供しているのはポイントが高い。録画した番組や現在放送中の番組をリアルタイムMPEG4エンコーディングしつつ配信できる機能も有用だ。
SmartVision/PLAYERを起動し、SmartVision/SERVERが動作中のマシンが見つかれば、「ネットワーク」の欄にその名前が表示される。クリックすれば、サーバ側の録画ずみ番組や現在受信中の番組を視聴可能だ。「フォルダ」の欄に「録画」「編集」および「チューナー」という項目が表示されている。「チューナ」をクリックすれば受信可能な放送局名が一覧できるので、そこから選択して現在放送されている番組を観られる。その際、タイムシフトも可能だ。というか、もともとタイムシフトモードのみで見ているというべきか。さすがに、チャンネルの切り替えには4秒ほどの時間がかかる。そのほか、インタフェースはほぼ等しい。番組表もサーバ側にダウンロードずみのデータをそのまま閲覧でき、もちろんクリックするだけで予約完了だ。ただし、手動での録画開始はできない。
冒頭で述べたとおり、VALUESTAR TXにはドット・ゲートサービスがインストールされている。ソニーがHotnetwork(有料サービス)で提供している「LinkGarage」機能と同様のものだが、もう少し幅広く活用できるようになっている。このサービスは要するに、VALUESTAR上でApache HTTP Serverを動かし、Webブラウザからデータのやりとりを行うためのインタフェース(cgi-bin内の.exeファイル)を用意してくれるものだ。外出先からアクセスを行うためにIPアドレス通知メールを送るツールもついているが、BiglobeのBroadPassサービス(有料)を併用すれば、BroadPassサイトを経由して自動ログインしたうえでSSL接続できる。いずれにしても、うまく接続できれば、ルートメニューには「Webメール」「Webフォルダ」「Webアルバム」「ライブカメラ」「TV録画予約」「お気に入り」が表示される(初期インストールされていない機能もある)。
問題はWebサーバ公開までにともなうルータなどの設定だが、いちおう「Webサーバー導入ガイド」というヘルププログラムが手順を追って解説してはくれる。しかし、これは決して「初心者でも簡単に」という内容ではない。とはいえ、ネットワーク知識を持つ人のために用意されたものとも感じられない。設定を容易にするために、妙に自動化したり、制限をかけられるのも、それはそれで抵抗があるが、何かもう少しブラッシュアップされた手段が用意されていれば、と思う。手間がかかるのは、最初の導入だけではあるが。
ともかく、家庭内ではビデオサーバとしての顔、インターネット上ではパーソナル情報サーバとしての顔をというのが、ホームPCサーバ=VALUESTAR TXの特徴といえるだろうか。ほかに紹介したいソフトウェアもあるが、それは明日のまとめで触れることにしよう。
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[浅井研二,ITmedia]
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