ノキアがすべての携帯電話にJavaを搭載,2003年には1億台を出荷へ
【海外記事】 | 2001.06.05 |
サンフランシスコで開催されているJavaデベロッパーの祭典,JavaOneカンファレンス2日目の基調講演には,携帯電話機メーカーの巨人,ノキアのペッカ・アラ-ピエティラ社長が登場した。先ごろデータクエストが明らかにしたところによると,同社のシェアは35%を超え,13%台で2位につけるモトローラを大きく引き離している。この日,PersonalJavaを搭載した「Nokia 9290 Communicator」を2002年前半に米国で出荷することも明らかにされた。
アラ-ピエティラ氏は,「われわれは“Content goes mobile”というビジョンを掲げ,すべてのカテゴリーの携帯電話にJavaを搭載する。2003年末までにJava端末の出荷数を1億台まで引き上げたい」と話す。
JavaOneに登場したノキアのアラ-ピエティラ社長 |
ノキアは1990年代初め,携帯電話がマスマーケットの支持を得ることができるとし,「Voice goes wireless」ビジョンを打ち出した。同社は,1992年時点で2000年の携帯電話の普及台数を世界で5000万台と見積もったが,「気でも違っているのかといわれた」とアラ-ピエティラ氏は振り返る。しかし,実際には4億台に達している。
携帯電話は人や時間,場所に応じたサービスが可能となり,さまざまなビジネスチャンスがあるといわれている。アラ-ピエティラ氏は,過去の仮説は捨て,ユーザーの求めるサービスを柔軟に提供することが重要だと話す。ノキアでは,これからの携帯端末はモーバイル環境でも新しいアプリケーションをダウンロードすることによってアップグレードできるようになるとしている。
アラ-ピエティラ氏は基調講演の中で,PDAと携帯電話を一体化させた「Nokia 9290 Communicator」を北米で2002年前半に出荷することを明らかにした。
洗練されたフォルムに多機能を詰め込むNokia 9290。液晶ディスプレイは640×200ピクセルも |
このNokia 9290は,まもなく欧州やアジアで出荷が始まるNokia 9210の米国版。電子メール,カレンダー,住所録,ワープロ,表計算,プレゼンテーションといった各種アプリケーションが組み込まれているほか,シンビアンのEPOC OSとPersonalJavaというスタンダードを採用するため,サードパーティーのアプリケーションも利用できる。
また同社では,Nokia OSにJ2ME/MIDP(Mobile Information Device Profile)を搭載した携帯電話の出荷も2002年第3四半期に予定している。96×65ピクセル,128×128ピクセルという2つの液晶ディスプレイサイズを用意するほか,EPOC OSとJ2ME/MIDPを組み合わせ,液晶ディスプレイも176×208ピクセルと少し大きめの携帯電話も出荷するという。
ノキアは,これらのJavaデバイス上で動作するサードパーティーアプリケーションの開発を加速させるため,ボーランドと協力し,「JBuilder MobileSet,Nokia Edition」を提供することも明らかにしている。
ステージにはボーランドのチーフサイエンティスト,ブレイク・ストーン氏が招き上げられ,JBuilder MobileSet,Nokia Editionのデモを行った。ストーン氏は,シューティングゲームで撃たれてもゲームオーバーしないように,その場でコードを修正し,エミュレーションモードで動かしてみせた。
[浅井英二 ,ITmedia]