Hitachi ITコンベンション基調講演:日立社長の庄山氏,「情報はライフラインへ」

【国内記事】 2001.07.23

 日立は7月23日から3日間,同社のソリューションを中心にIT時代の技術などを紹介するイベント「Hitachi ITコンベンション2001」を開催した。基調講演に同社の庄山悦彦社長が登場し,「夢の実現に向けて Inspire the Next」をテーマにプレゼンテーションを行った。ブロードバンドの進展などを背景に進むユビキタスネットワークの時代に対する,同社の経営方針や具体的なサービスが紹介されている。会場には,同社のほか,マイクロソフトやオラクルをはじめ,30社前後がブースを出しており,猛暑の中会場を訪れた来場者に,それぞれのソリューションが説明された。

 庄山氏は,「インターネットが浸透することで,情報の質および鮮度がビジネスに直結するようになる。適切な情報が適切な速さで正しく伝わることが重要であり,これはガスや水道と同様に,情報がライフライン化したといえる」と話す。

 同氏は,ネットワークの進化と情報機器の多様化を重点として挙げ,前者に対してはブロードバンド,後者はIPv6がキーワードになるという。IPアドレスの数に関し,従来のIPv4では,総数で43億個のIPアドレスしか持てなかったが,IPv6では天文学的な数のアドレス使用が可能になるという。

「IPv6で持てるアドレスは,地球上の60億人全員が,1日に1個のIPアドレスを消費しても,155兆年持ちこたえられる」(庄山氏)

 日立では,IPアドレス不足に対するソリューションに力を入れており,IPv6を実現するギガビットルータ「GR2000」シリーズを展開している。展示会場でも大きなスペースを割いて,同製品シリーズをアピールしている。

 また,庄山氏は,同社が具体的に取り組んでいる事業についても紹介している。

 その内,企業間ECサービスの構築などを展開するのが「Twx-21」。需要予測やCRMなどの上位管理系,生産管理系,設備制御系などのサービスを組み合わせたシナジー効果によって,効率的な経営環境を実現させるソリューションだという。現在,花王やリコー,ブラザー工業など,およそ1100の参加企業があるとしている。

 加えて,ISO14001に基づいた環境管理ソリューションを提供する「EcoAssist」,電子行政ソリューションの「日立サイバーガバメントスクエア」なども紹介されている。また,個人向け情報サービスについて,携帯電話に画像を配信するサービス「モアイ」や,携帯電話で音楽を入手する「ケータイdeミュージック」などにも触れた。

 さらに,先日発表された,指紋の間にも入るという超微小チップや,ITS(Intelligent Transport Systems)関連のソリューション,電子チケット,デジタルホームなどへの取り組みについても述べている。

 庄山氏は,経営の舵取りがITにかかる時代が到来したのを受け,顧客の期待に応えるために,新しい価値を創造していきたいと話した。

関連リンク

▼Hitachi ITコンベンション2001

[怒賀新也 ,ITmedia]