CASSIOPEIAでビジネスソリューションを実現
| 【国内記事】 | 2001.07.31 |
カシオ計算機(カシオ)は7月31日,「カシオモバイルソリューションフェア2001Summer」を開催した。ここでは,Windows CEを搭載したPDA「CASSIOPEIA」シリーズを活用して営業支援や顧客管理(CRM)などを支援するビジネス向けソリューションが紹介された。
自宅や外出先など会社の外でも,オフィスと同じように情報やシステムを活用したいというニーズは確実に高まっている。カシオはこうした状況に対し,パートナーと連携しながら,運輸や金融,官公庁など,業態に合わせてCASSIOPEIAを活用したソリューションを提供していく方針だ。
企業システムのモバイル対応と言うと,iモードに代表されるブラウザ搭載携帯電話を採用する例が連想されるかもしれない。だが今年2月より出荷が開始された「カシオペア E-707」にはDoPa通信機能が内蔵され,単体でインターネット接続が可能となった。
CASSIOPEIAはさらに,iモード端末に比べ大きなメモリ容量を備えており,より複雑なアプリケーションを実行できること,そして本体内にさまざまなデータをストアできることが特徴になると言う。コンパクトフラッシュ(CF)カードを用いたデータのやり取りや機能拡張が可能な点でも,企業向けソリューションに適している。
会場では三重銀行,日立家電やサッポロビールなど,企業での採用例が紹介された。しかも渉外支援や販売店支援,画像を利用しての工程管理など,応用される場面は多岐にわたっていると言う。
カシオでは,ビジネスソリューションへの取り組みにおいて,セキュリティの確保を課題の1つとしている。既に独自に開発した暗号ライブラリ「MDSR」や,CASSIOPEIAの本体コードとを照らし合わせてCFカードからの情報漏えいを防ぐ「CFカードセキュリティ」,モバイルデータベースを暗号化する「Front DataBase」といったソリューションを提供し,ビジネスでの利用に足るセキュリティを実現していくと言う。
また,今後のキーワードとなるのが「プッシュ」だ。センター側から自動的にデータやサービスを配信することで,より効率的にPDAを使いこなせるようにする。
E-707やE-800など,一連の企業向けモデルと並行して,新たなPDAラインナップも国内で提供していく方針だ。米国で「BE-300」の名称でリリースされたこの製品は,いわば「eMbedded PC」。10月末をめどに国内でも提供される見込みである。同じくWindows CEをベースとしながら,PIM機能とメーラー,ブラウザなど,搭載アプリケーションを必要最低限のものに絞り込むことによって単価を下げ,モバイル端末導入のすそ野を広げる。合わせてマイクロソフトが提供するものに加え,カシオ独自のSDKを提供し,開発環境を支援していく予定dあ。
会場ではカシオのパートナーによって,他にもいくつか具体的な企業向けソリューションが紹介された。
たとえば松下インターテクノでは,金融機関向けの渉外支援システムを提案している。まだ開発中のものだが,顧客情報システムや帳票システムなどの処理を手元の端末で行えるようにし,渉外業務の効率化を手助けすると言う。特に,ホストをはじめとする既存システムとの連携,バッチ処理だけではなくリアルタイム処理をサポートするといった部分で工夫が凝らされていると言う。また松下インターテクノでは,PDA専用のXMLアナライザを開発・実装することで,CASSIOPEIA上での処理効率を向上させた。
またアカサカテックでは,GPSや地図アプリケーションと組み合わせてトラックなどの運行状況を収集し,Webブラウザ上から情報を把握できる「FLEET NAVIGATOR 2000 Series」を,運輸業向けに提供している。さらに,カシオソフトでは,同じくGPSで収集した位置情報と顧客データベースなどを組み合わせて営業支援などに利用できるパッケージ「Go! Field」を紹介した。
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[高橋睦美 ,ITmedia]
