現地レポート第2弾:せっかくのWebも役に立たず?

【海外記事】 2001.09.14

 ニューヨークのワールドトレードセンター,そしてペンタゴンを襲った連続テロは,前代未聞の事件だった。この事件を受けて,初日は半ばで会場閉鎖となったNetWorld+Interop 2001 Atlantaだが,2日目以降は比較的平穏に進んでいる。

 ただし,2日目に予定されていた「Best of Show Award」の発表イベントが中止になったり,基調講演のスケジュールが変更になったり,コンファレンスのいくつかが中止されたりと,影響は少なからずあった。インテル,レッドハット,マイクロソフトなど,展示場から完全に撤退したベンダーもある。

 さて,本題。

 連続テロ事件を受け,全米の空港で封鎖が続いている。これだけの事件だからやむを得ない措置だろう。改めて,今回の事件の犠牲者の方々には心から哀悼の意を表したい。

 だが一方で気になるのが,帰りのフライトである。じたばたしてもしょうがないのだが,対策は打っておいたほうがいい。

「冷静に,冷静に。まず,情報収集が第一だ……」と自分に言い聞かせながらWebサイトをチェックしてみた。だがこれが,役に立つ情報がほとんど見つからないのだ。結局は,単純なようだが,予約を入れているDelta航空のサイトで情報を得て,最終的には電話で確認することになった。

 11日,12日とWebサイトを見て回ったが,CNN,ABCといった米国のニュースサイトは全般に重たく,また当たり前だが,事件の経過や犯人捜索などのトピックが中心だ。筆者が知りたいフライト関連の情報はあまり掲載されていない。

 ならばと外務省や首相官邸のサイトを見てみたが,公式会見の記録が中心で,米国時間12日朝の時点ではあまり参考にならなかった。米国大使館のサイトも同様だ。おそらく,更新しようにもできないでいるのだろう(筆者注:1日明けた13日には,外務省サイトにいくつか最新情報が掲載された。N.Y.周辺の交通情報も掲載されている。関係者の皆さんご苦労様です)。

 がっくりきたのは「海外危険情報」だ。多分何らかの情報があるだろうと考えていたのだが,トップには「カンボジア:観光旅行延期勧告」「香港(中国):ショッピングに当たっての留意事項」が出てきただけで,北米関連の情報は見当たらない。苦笑するしかなかった(筆者注:こちらも更新されている可能性があるが,こちらは未確認)。

 意外と日本のニュースサイトは参考になった。日本語で書いてあるという安心感もある。現地でぼーっとテレビを見ているよりも,こうしたニュースサイトの方がまとまっているだけ,分かりやすい。また,時折届く家族や友人,同僚からの電子メールも参考になった。

 あとはやはり電話である。チケットを手配してくれた代理店と何度か電話でやり取りし,段取りを付けてもらっているところだ。

 そういえば,連続テロ事件を受けて米国の空港すべてが封鎖されている,という話を耳にしたのは,最初は基調講演でのアナウンス,次にプレスルームの噂話,そして取材先の担当者からの口コミだった。最後にそれを確認したのは,結局「テレビ」である。その後も,テレビのテロップが最も早く,事件の状況を伝えてくれた。

 昨日,「改めて“テレビ”や“電話”という,既存のメディアの威力を感じたのも事実だ」と書いたが,自分自身もそう考えざるを得ない。安否確認やちょっとした連絡にはもっぱら電子メールを利用しているが,こうした公式情報は,やはりテレビに頼るしかなかった。

 ちなみに,今回の取材は単独行動である。添乗員さんもいなければ,一緒に行動できる同僚もいない。悪いが英語だって不得手で,技術用語はまだ分かるが,日常会話となるとお手上げだ。今もなお,情報への飢餓感を強く感じている。

 Webという器があっても,その中の情報が更新されていなければ何にもならない。Webというメディアは,まだまだ未熟なのかもしれない,などと考えてしまった。

[高橋睦美 ,ITmedia]