ギガビットならばStorage over IPも楽々実現? 各社が相互互換性をデモ

【海外記事】 2001.09.14

 ギガビットから10GbE,あるいは光ファイバネットワークの登場によって,ネットワークの帯域はますます広くなっている。メールやWebといった既存のアプリケーションならば十分過ぎるインフラだ。では,この「太い土管」をどう使えばいいだろうか。

 1つの回答は,ストリーミングに代表されるリッチコンテンツだろう。もう1つ注目されているのがストレージだ。これまでのネットワークでは重たくてやり取りできなかった大きなデータを遠隔地のファイルサーバにどんどん保管し,あたかも手元のローカルディスクにあるのと同じように利用する,といった使い道が,徐々に現実のものとなりつつある。

 N+I Atlantaの会場には,IPネットワークの上でストレージをやり取りする「Storage over IP」関連製品がいくつか展示された。

 これまでストレージの世界では,EMCの製品に代表されるようにファイバチャネルを用いたSAN(Storage Area Network)が主に取り上げられることが多かった。だが,ここで紹介されたのは,既存の(あるいはアップグレードした)イーサネットを通じてストレージネットワークを構築するための製品だ。

 筆頭は,IBMなどと協力してiSCSI仕様を推進しているシスコシステムズだ。同社はデモンストレーションの中で,光ファイバで構築されたMANを通じてストレージを利用するモデルを紹介した。「こうしたIPストレージネットワークによって,ネットワークのどこにいようとストレージを自由に利用できる。サーバファームはもちろん,バックアップや災害時対策の手段としても有効だ」と,同社の担当者は語った。

 同社はまたブースでも,「SN 5420 Storage」ルータとブロケードの「Silkworm 2400」,それにIBMのサーバを組み合わせ,iSCSI経由でデータをやり取りする模様を展示した。

シスコシステムズはiSCSIを使った相互接続性デモを行った

 またファウンドリネットワークスは,同社のレイヤ3スイッチ「BigIron」に,ニシャンシステムズのIP Storageスイッチング製品の相互互換性デモを行った。

 他にアンリツ,ストレージテックなども,Storage over IPのデモンストレーションを行っている。ストレージテックでは,まだ開発中のソフトウェアを用いてデモを行っていたが,今後これをASIC化し,チップベースでStorage over IPを実現していく方針という。

アンリツブースのStorage over IPのデモ

「ファイバチャネルベースのストレージは高価で,しかもベンダーごとにプロプライエタリな技術が用いられている。それに対してStorage over IPは管理しやすいし,何よりコストメリットが大きい。また既存のファイバチャネルももちろん収容できる」と,各社とも口をそろえる。

 ギガビットクラスのネットワークが前提になるとはいえ,IP over Stroageは今後の有力なアプリケーションの1つになるだろう。

関連リンク

▼米シスコシステムズ

▼米ファウンドリネットワークス

▼アンリツ(US)

▼米ストレージテック

[高橋睦美 ,ITmedia]