iLABSの互換性テスト,MPLSはマルチベンダー間で無事稼働

【海外記事】 2001.09.14

 N+I展示会の名称の一部であるInteropは,元々「Interoperability」,つまり相互互換性から取られたものだ。各社が最新の製品を持ちより,互換性テストをそのまま展示デモにして見せてしまうという特徴を示している。

 しかし,かつてのファストイーサネットやギガビットイーサネットのように,物理/ネットワーク層で「つながる」ことが第1の課題となるケースは,年々少なくなってきている。10GbEや光ファイバーネットワークといった分野が残されているものの,問題はさらに上位の層やサービスそのものへと移行してきた。

 今回のN+I Atlantaを支えるネットワーク,InteropNet(eNet)もその傾向を反映しているようだ。会場の環境を用いてライブで相互接続性テストを行う「InteropNet Labs」(iLABS)のテーマは,IPテレフォニー,SAN(Storage Area Network),それにMPLS(Multiprotocol Label Switching)だ。

nteropNetのNOC(ネットワークオペレーションセンター)に置かれた機器群

 MPLSは,簡単に言ってしまえば,IPパケットに識別のためのラベルを付け,それを元にトラフィックのパスを設定・選択し,高速にトラフィック処理を行う技術だ。ATMのモデルとも似ており(そもそもATM技術が母体ともいえる),OSI的にはレイヤ2とレイヤ3の中間に位置する。

 これをセキュリティの確保(VPN)やQoSに応用することも可能だ。現にNTTコミュニケーションズやKDDIなど複数の国内キャリアは,IP-VPNサービスのベースとしてMPLSを既に採用している。

 iLABSのスタッフによるセッション「iLABS Class」では,米スピレントの上級テクニカルアドバイザ,ロン・ラッシュビー氏によって,MPLS技術そのものの解説と,互換性テストの説明が行われた。

 同氏によれば,「iLABSでは,シスコ,ジュニパー,ファウンドリなど複数のベンダーの機器の間でパスを確立できている」ということだ。

iLABSのMPLSテストコーナー

 しかしラッシュビー氏によれば,MPLS技術には,互換性のほかにも幾つか課題がある。1つは,IPネットワークでいうTraceroutのようなツールが存在せず,IPネットワークとMPLSネットワークをまたいでの管理,トラブルシューティングが難しいことだ。

 そこでiLABSでは,MPLSテストのために,独自に管理ツールを作成したそうだ。これはPerl/Javaで書かれており,MPLSのパスがどのように張られているかをグラフィカルに表示できるという(Webサイトで公開されている)。

 また,MPLSで利用されるプロトコルも完全に固まりきっておらず,たとえばRSVPとCR-LDPのように,どちらを採用するべきか明確にできないことも課題という。

 それでも,同氏はMPLSの将来にはさまざまな可能性があるとしている。例えばL2クロスコネクトによって「MPLSはMPSS,つまりMulti Protocol Service Switchingにもなり得る」という。

「今のMPLSの主な用途はトラフィックエンジニアリングやトンネリングだが,まもなくL2クロスコネクトにも利用されるだろう。将来的には,GMPLSによって,光ファイバーネットワークとの間でもコントロールができるようになるはずだ。最終的には,ASを越えてのエンドツーエンドのMPLSが目標になる」(ラッシュビー氏)。

[高橋睦美 ,ITmedia]