e-Day:アスキーが懲りずに映画? ブロードバンドと劇場で公開へ

【国内記事】2001.10.18

 アスキーが懲りずに映画事業に再参入……か。渋谷の道玄坂,いわゆるラブホテル街のど真ん中にあるクラブで10月18日,アスキーが新作映画「シンクロニシティーフェアリーテイル」を発表したのだ。

 アスキーが映画をやっていたのを知っている人もかなり少なくなったと思うが,同社は1990年,ベストロンを買収し,華々しく映画事業をスタートさせたのだ。「グリーン・フライド・トマト」というヒット作もあったが,1997年にCSKの傘下に入るころには50億円以上の負債を抱えていたという。つまり鬼門だ。

 それなのに,11月下旬の東京,大阪を皮切りに,全国10カ所で堂々の上映だ。総合監修に日比野克彦を迎え,総制作費は……? 200万円?

 監督から制作総指揮まで一人で何役もこなしたアスキーの奥井宏太朗は,「ローコストだが,新しいムーブメントを興したい」と意気込む。

「タイタニックの1000分の1,ブレアビッチプロジェクトよりさらに100万安い」と話すのは週刊アスキーの編集長で,この映画のエグゼクティブプロデューサーを務める福岡俊弘。安い予算で上げるため,自らも「死体役」で出演していると笑う。

 そう,今回の新作は,ブロードバンドインターネットでネット版が先行公開され,劇場版が追っかけで公開されるというメディアミックス的なプロジェクト。2つのシンクロニシティーを続けて観ることで,謎解きがゲーム感覚で楽しめるという趣向だったのだ。

 ネット版は,ソニー系ブロードコンテントプロバイダー,AII(エー・アイ・アイ)の協力を得て,1Mbpsバージョンが全国約50局のCATVで配信されるほか,ISDNでもアクセスできるよう64kbpsバージョンも用意される。

 アスキーが昨年秋に開局したインターネットラジオ放送局,「ラジ@」(ラジアット)では,この春にラジオ版シンクロニシティーを放送しており,それを加えれば,さらにメディアが複合していたことになる。かなり新しい形のメディアコラボレーションといっていい。

 監督の奥井は,ラジ@のプロデュースを手がけており,開局したばかりのころに,ブロードバンドをテーマにした週刊誌の座談会で一緒になったことがある。

 かつて東映で映画をつくっていた奥井はその座談会で,「現在のインターネットでは映像は難しいが,ラジオなら楽しいことができる」と話していた。そのラジ@は,1週間で10万ストリームにまで大きくなっている。

 AIIもこの2月からサービスを本格スタートさせたばかり。週アスの福岡編集長と一緒にシンクロニシティーのエグゼクティブプロデューサーを務めるAIIの八尋俊英は,「昨年8月にチューブのライブを利用して実証実験を行ったが,“ホントに大丈夫か?”と心配された。あれからわずか1年だが,今は1Mbpsを当たり前にしたい」と話す。

 ケータイのゲームで殺人まで犯してしまう若者を描くというクセのある内容だが,オフィシャルサイトでは,メイキングのコンテントや掲示板を用意して盛り上げていくという。

 ようやく本来の映画の世界に取り組めるようになった奥井は,楽しそうだ。観客動員の目標を聞かれたAIIの田井野賢プロデューサーが,「4ケタから1万人」と控えめな数字を挙げたが,奥井は「10万人くらい」と大きく出た。

[浅井英二 ,ITmedia]



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