マイクロソフト，中小企業のIT化を図る「全国IT推進計画」を発表
| 【国内記事】 | 2001.10.23 |
マイクロソフトは10月23日，IT業界の協賛企業や，同社が認定するパートナーと協業しながら，全国の中小企業を対象にITリテラシーの向上を図る「全国IT推進化計画」を開始すると発表した。e-Japan構想の下，中小企業の多くでIT化が遅れている現状を踏まえ，パートナー企業とともにITリテラシーの底上げを図りながら，Windows 2000 ServerやExchange Serverなど，同社のソフトウェアなどを提供していきたい考えだ。
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| 中小企業のIT化によるe-Japan実現に貢献したいとする阿多社長 |
記者発表会の冒頭，マイクロソフトの阿多親市社長は，「2003年度を目処に実現する運びとなった電子政府や，ビジネスの国際化へのシフトなどの環境変化に合わせ，中小企業のIT化を推進したい」と話している。
また，同社取締役でIT推進事業部担当の眞柄泰利氏は，全国の中小企業を回った結果，まだ1台もパソコンが入っていない企業も少なくないことが分かったという。
経営者自身が，FAXや電話だけで業務遂行上十分だと考えているケースが多く，「まずは経営者にITの必要性を分かってもらうことから始める」と同氏は話す。企業の若手に話を聞いても，「ITに対する経営者のマインドを変えてほしい」という反応が思った以上に多いという。
発表されたマイクロソフト全国IT推進計画では，大きく3つの施策が実施される。
1つは，マイクロソフトと協業してともに中小企業のIT化を実現していく「IT推進全国会」の組織化だ。これは，現時点で170余りに上るIT推進全国メンバーで構成される。各地域の事情に精通した地場企業の参加を促し，「もうけのでる」パートナーネットワークを構築していきたいとしている。
また，現在22社あるハードウェアベンダーなどの協賛企業とともに，IT化対象となる中小企業に導入するためのパッケージシステムを構築する。
同パッケージは，ローエンドから順に，PCやインターネットなどITを使いこなすための基盤環境を提供する「IT基盤構築モデル」，LANやグループウェアによって情報を管理することで経営に生かしていく「情報共有モデル」，データウェアハウスやOLAP，ナレッジマネジメント，SFA，CRMなど分散したデータベースを統合して活用する「データ統合・活用モデル」の3モデルの開発を予定しているという。
さらに，3つ目の施策は，中小企業の経営者や社員を対象に，マイクロソフトがITの啓蒙やトレーニングを行っていく「マイクロソフトIT実践塾」の開催が挙げられている。2年間で1万人の経営者，4万人の実務担当者への実施を予定しており，修了者には修了書が発行される。
巨大市場をどう動かすか
マイクロソフトは，IT推進全国会メンバー，協賛パートナー，公的機関，IT化対象の中小企業の真ん中で，ハブとして機能していくという。中小企業に対してはIT実践塾の開催や広報活動，最適なIT推進全国会メンバーの紹介などを行う。またIT推進全国会メンバーには，SEのトレーニングや情報ツールの提供，販売支援，専用Webサイトによる製品情報などの提供などを行っていくわけだ。
そして，IT化を実現する上で基盤となる製品として，同社が考えている製品の組み合わせは，Windows 2000 ServerとExchange Server，あるいはWindows 2000 ServerとSQL Serverだという。また，クライアントPCについては，Windows XP ProfessionalやOffice XP Professionalを導入していきたいとしている。眞柄氏は，「具体的には，サーバ製品などの売り上げアップが事業の成功を測る目安になる」と話している。
また眞柄氏は，同計画によりIT化を実現した企業に対しては，Webサービスを中心とした.Netの構想に沿った形で，より先進的なシステムを提供していくとも話した。
いずれにしても，日本の事業所の大部分を占めるといわれる巨大な中小企業の市場は，IT化が遅れている現状からしても，非常に魅力的であることは確かだ。
今後の主な予定として，第1期IT推進全国会メンバーの募集が11月末日で締め切られる。また並行して，第1期のメンバーに対して，トレーニングや情報提供などの支援活動が行われる。
なお，パッケージシステムの構築などを協業して行う協賛パートナーは現状で次の22社となっている。
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[怒賀新也 ，ITmedia]
