「イーサネットはラストワンマイルへも広がる」と予測するエクストリームのイーズリー氏

【国内記事】2001.11.01

 e-Driveプロジェクトの主催で11月1日よりスタートした「e-Drive 2001」は,ブロードバンドに的を絞ったカンファレンスだ。

 といっても,会場にADSLモデムがずらっと並ぶとか,にぎやかにブロードバンド接続サービスが紹介されるというわけではない。こうしたサービスを実現するための技術や製品,いわばブロードバンドを支える裏方の部分に焦点を当てたカンファレンスである。

 特別講演を数多くそろえ,セミナー主体の内容となっていることも特色だ。初日には,ブロードバンドを主軸としながら,ワイヤレスやVoIP,セキュリティやストレージなど,さまざまな角度から切り込んでの講演が行われた。

「低コスト」と「シンプルさ」がイーサネットの魅力

 e-Drive 2001のダイヤモンドスポンサーでもあるエクストリームネットワークスは,一貫して「Ethernet Everywhere」というテーマを掲げ,製品を提供している。これを踏まえ,「Beyond Ethernet Everywhere」という題で,米エクストリームネットワークスでメトロ・アクセスマーケティング担当ディレクタのクレイグ・イーズリー氏がセッションを行った。

 同氏はこの中で,これからの,イーサネットを基盤としたブロードバンドサービスのあり方について語った。イーズリー氏が語った内容をまとめれば以下のようになる。

 サービス市場の競争は激化し,キャリアやサービスプロバイダーは,もはや帯域や料金だけで勝負するのは難しくなっている。ここで必要になるのは,さまざまな付加価値サービスによる差別化だ。その実現には,低コストでシンプルなイーサネットベースのネットワークが不可欠である。

 同氏は引き続き,その根拠をさまざまに挙げた。

 1つは価格競争力だ。イーサネット技術はLANで広く普及しており,機器の価格が一般に低い。このため,SONET/SDHに比べて導入費用がぐっと低くなる。SONETやATM,WDM関連の技術者に比べ,イーサネットのスキルを持った管理者の絶対数は非常に多く,しかも市販ツールで管理できることから,管理・運用コストも押し下げられる。

「IP/イーサネットベースのサービスは,SONET/SDHとATMの組み合わせに比べて,80%から90%ものコストが削減できる」(イーズリー氏)

 2つめはシンプルさだ。イーサネットというレイヤ2の技術は単純で分かりやすい。SONET/SDHでの通信のようにフレームを変換する必要もないため,エラーの発生率も低くなり,管理が容易になる。これは,サービスの導入や増速を,数日といった単位で速やかに行えることにもつながる。また上位プロトコルを選ぶこともない。

 イーサネットの弱点とされる信頼性や冗長性についても,それを補うための技術が登場してきた。イーズリー氏によると,エクストリームでは,リンクアグリゲーションやマルチプルスパニングツリー,EAPS(Ethernet Automatic Protection Swich)という独自の技術を開発し,回線切断時にも速やかに接続を回復できるよう工夫を凝らしているという。並行して,これらの取り組みを業界全体のものとして推し進めていく方針だ。

「エンドツーエンドのイーサネットによって,簡単でコスト効率が高く,ニーズに迅速に対応できるサービスを展開できる」(イーズリー氏)

イーサネットはラストワンマイルへも広がる

 では,Ethernet Everywhereの次のステップは何か。イーズリー氏はその答えとして,プロビジョニングサービスの自動化,マネジメント,QoSなどが課題だと述べた。また,「VMAN」(Virtual MAN)によるイーサネットのスケーラビリティの向上,MPLSなども,今後取り組むべき分野という。

 さらに将来的には,WDMを用いてギガビットイーサネットや10ギガビットイーサネットを集約し,1本の光ファイバで大容量のデータを伝送できるというのが,同氏の描く青写真だ。

「音声に特化したSONETとは異なり,イーサネットはデータに特化している。スケーラブルで信頼性の高いイーサネットが,新しいサービスの基盤になり,メトロやラストワンマイルへと広がるだろう」(イーズリー氏)と語り,エンドツーエンドのイーサネットが将来のネットワークを支えるとした。

関連リンク

▼e-Drive 2001サイト

[高橋睦美 ,ITmedia]