Case Study:ミラポイントのメールアプライアンスでサービスを安定させた東京大学

【国内記事】2001.11.05

 東京大学情報基盤センターでは2001年4月より,学生や教員を対象とした新たなサービスとして「メールホスティングサービス」を開始した。

 これは,それまで研究室や組織単位でばらばらに運用されてきた学内のメールサーバをセンター側でホスティングし,集中的に管理するもので,いわばメールに特化した学内ASP(Application Service Provider)とも表現できるだろう。このサービスでは,学部や研究室単位に独自ドメイン付きのメールサービスを利用でき,2001年10月の時点で1200人を超えるユーザーが利用するまでになった。

学内向けに「メールホスティングサービス」を提供している東京大学情報基盤センター

 メールホスティングサービス開始の背景には,増大するニーズに応えて安定したメールサービスを提供するとともに,管理者側の負担を減らすという狙いがあった。同センターではこの目的に沿って,ミラポイントのメールサーバアプライアンス製品「Internet Message Server M2500」を中核としたシステムを構築,安定した運用を実現している。

学内の「勝手メールサーバ」が問題に

 メールは,インターネットの中でも最も古い歴史を持つアプリケーションであり,今では誰もが当たり前のように利用するまでになっている。だが,メール「サーバ」の管理となると,そうはいかない。アカウント管理をはじめとする作業は大きな負担であり,本来システム管理者が専念すべき作業にまで支障をきたすこともしばしばだ。

 東京大学では以前から,学生・教員を対象にした教育用計算機システムを構築・提供してきた。これは本来,端末やアプリケーションなども含めた,総合的なサービスを提供するものだが,ここ数年で,メールのみを目的に教育用計算機システムを利用するユーザーも相当数に上っていた。結果として,使うのはメールだけであるにもかかわらず,同システムのアカウントは多数に上り,センター管理者はその更新・継続作業に追われることになっていた。

 それと並行して,もう1つ大きな問題が浮上してきた。センターとは別に,研究室単位などで自主的にメールサーバを構築し,運用するケースがあったことだ。いわば学内の「勝手メールサーバ」問題ともいえるだろう。独自のドメイン,独自のアカウントで自由にメールを使いたいという要望が,それだけ強かったわけだ。

 最近ではメールサーバの「立ち上げ」自体は手軽にできるようになった。メールサーバ用のパッケージが付いてくるプラットフォームも複数あるため,とりあえずサービスを立ち上げ,動かすことまでは比較的簡単にできる。だが肝心なのは,その後の管理・運用である。

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[高橋睦美 ,ITmedia]