IBMのワイヤレスセキュリティ戦略はグループ企業のノウハウの集大成
【国内記事】 | 2001.11.15 |
日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は11月15日,同社のワイヤレスセキュリティーへの取り組みについての記者向けの説明会を開催した。同戦略は,米IBMによる10月8日の発表に基づくもの。同社は,ワイヤレス環境での,新しいセキュリティサービスをはじめ,ソフトウェア,テクノロジー,クライアントソリューションなど,総合的に提供する計画という。
米IBMグローバスサービセスのグローバルワイヤレスe-ビジネスサービス担当副社長,ジョン・カービー氏 |
来日した米IBMグローバスサービセスのグローバルワイヤレスe-ビジネスサービス担当副社長,ジョン・カービー氏は,「ワイヤレス環境で重要なのは,ビジネスモデルのデザインの柔軟性や拡張性,可用性,そしてセキュリティだ」と話す。
現在,ワイヤレスネットワーク環境は,既にオフィスや家庭内,ホテル,空港のラウンジ,カフェなど,いたるところに実現されている。さらに先進的なユーザーは,既にウェアラブルコンピュータや家電の遠隔制御/監視なども行っているという。
このように,今後ますます拡大が予想されるワイヤレス環境では,安全で確実につながることができる仕組みの提供が必要になる。そこでIBMでは,技術やアーキテクチャだけでなく,プロセスやスキルまでを包含したエンド・ツー・エンドのセキュリティサービスを提供していく計画を明らかにした。
「IBMではワイヤレスシステムの現状分析,プランニング,デザイン,構築,そして実行という,一連のセキュリティライフサイクルに基づいたサービスをトータルに提供する」(カービー氏)
IBMでは,同社が開発したワイヤレスネットワークセキュリティ監視ツール「Wireless Security Auditor」を提供。同ツールを利用することで,ワイヤレスサービスを実現するために,最適なセキュリティ構成を導き出し,安全で柔軟性の高いワイヤレスe-ビジネス環境を実現できるとしている。
また,同社の1部門であるチボリシステムズでは,新しいワイヤレスセキュリティソフトウェア「Tivoli Risk Manager」を提供。Tivoli Risk Managerは,Wireless Security Auditorをモニタリングし,ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティイベントと連携し,ワイヤレスネットワークの脆弱性を広い視点で監視できる。
さらに安全なワイヤレストランザクションを実現するセキュアアクセス管理ツールの「Tivoli Policy Director」の最新バージョンを提供する。最新バージョンでは,WAP対応の携帯デバイスやiモード搭載携帯電話からのトランザクションやアプリケーションに対するアクセスに,シングルサインオンと認証機能を提供する。
これらのソフトウェアによりIBMでは,有線,無線に関わらず,ネットワークにおける一貫したセキュリティ環境を実現可能としている。
一方,ハードウェア環境では,同社のデスクトップPCである「IBM NetVista」およびノートPCの「IBM ThinkPad」の全製品ラインに,「IBM Embedded Security System」を組み込んでいる。
右がNetVista用のチップ,左がThinkPad用のチップ |
IBM Embedded Security Systemは,パスワードや暗号カギ,電子証明書などのセキュリティ情報に対するハードウェアレベルの保護機能を実現するソリューション。NetVistaやThinkPadに,専用のチップを組み込むことで,ソフトウェアベースのセキュリティよりも安全なセキュリティ環境を実現できるという。
同システムで組み込まれる専用チップは,簡単に言えば,スマートカードに搭載されているICチップをPCに組み込んだものだ。これにより,ハードウェア本体だけでなく,Webブラウザや電子メールソフトなどのアプリケーション簡通信に対するセキュリティも確保することが可能という。
IBM Embedded Security Systemは,NetVistaの「M41シリーズ」「X41シリーズ」およびThinkPadの「Xシリーズ」「Tシリーズ」「Aシリーズ]に,既に組み込まれている。
関連リンク
[山下竜大,ITmedia]