マイクロソフト,「ユーザーが中心になる」.Net My Serviceの詳細を発表

【国内記事】2001.12.17

 マイクロソフトの.Netの下でシステム開発を行うデベロッパー向けに,最新の技術を紹介する「Microsoft Developers Conference 2001」が12月17日,都内のホテルで3日間の予定で開幕した。開催に先立ち,.Net構想のWebサービスにおける中核的なサービス「.Net My Services」(コードネーム:HailStorm)についての記者発表会が行われ,認証サービスの.Net Passportが主な話題になった。また,一般ユーザーの視点から,.Net My Servicesの利便性を説明するビデオも紹介され,技術的な説明も加えられた。

エリック・ラダー上級副社長

 来日した同社上級副社長のエリック・ラダー氏は,「.Net My Servicesはユーザー中心のサービス」と強調する。

 具体的に提供されるサービスには例えば,住所や誕生日など,ユーザーの個人情報を保管する「.Net Profile」や,スケジュール情報を管理を行う「.Net Calendar」,オンラインショッピングに必要な情報を保管する「.Net Profile」など現在14種類。

組織の壁越える認証サービス

 ラダー氏は,Webサービスを利用するためには,シングルサインオンできる「組織の壁を越えた認証サービスが必要」と話す。同氏は,.Net Passportを複数のシステムと「Federation」(協調)させることについて触れた。同氏は協調の例として,ほとんどの銀行のATMが,別の銀行のキャッシュカードでも利用できることを挙げる。

 この日,.Net My Serviceに参加するサービス事業者に対して,3段階の料金システムが発表された。「エントリー」モデルは,年間1000ドル,アプリケーションごとに250ドルで,小規模なアプリケーション向けとなっている。「スタンダード」モデルは,年間1万ドル,アプリケーションごとに1500ドルで,本格的なビジネスアプリケーション向け。さらに,「コマーシャル」では個別契約による金額が設定され,より高度なサービスレベルやサポートに対応するという。

.Net My Servicesを紹介する最新ビデオ

 同社は,同イベントのためにビデオを用意していた。.Net My Servicesと,そこから拡張させたWebサービスについて紹介するビデオは,同氏がアピールするように,ユーザーの利便性向上を全面に押し出す内容となった。

 ビデオは,31歳男性の主人公が,事故で愛車をスクラップにしてしまい,新車購入を検討するところから始まる。まず,42歳男性カーディーラーが携帯するタブレットPCに,「試乗予約」のポップアップが上がる。これは,主人公が架空のカーディーラーサイト「.Net Car Service」にアクセスし,.Net Passportによる個人認証を経て,試乗の予約をしたことによる。.Net Car Serviceは,試乗予約リクエストを受け,通知サービス「.Net Alerts」を使って42歳のカーディーラーにポップアップを投げたわけだ。

 主人公が車の購入を決め,パーツの選定をディーラーのタブレットPC上で行う場面。主人公が希望するホイールが,ディーラーが通常取引しているカー用品問屋のリストでは品切れになってしまっている。

 そこでディーラーは,UDDI,レジストラ技術をベースにするカー用品問屋を検索するためのWebサービスにアクセスする。検索されたカー用品問屋数件に対し,主人公が希望するホイールの在庫や価格,納期で検索をかけると,1件だけ即日納入できる問屋が見つかる。早速,その問屋にホイールの予約をかけると,数分後,問屋から「ホイールの仮予約受諾しました」というアラートがポップアップした。これで,新車の購入準備が完了したわけだ。

Webサービスで車の購入もすばやくなる?

 ちなみに,最後の契約の場面。紙ベースの契約書を前に,主人公はニヤニヤしながら,「こんなにデジタルしてるのに最後はこれですか」と印鑑を押す。ディーラーは,「これ,日本式なんです」と笑い,日本語版のビデオらしい落ちをつけていた。

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[怒賀新也 ,ITmedia]