シスコ,機能豊富な新「Catalyst 2950/3550」シリーズを発表
【国内記事】 | 2002.01.22 |
シスコシステムズは1月22日,エンタープライズ向けのレイヤ2スイッチ「Catalyst 2950」シリーズとマルチレイヤスイッチ「Catalyst 3550」シリーズの新製品を発表した。
一連の製品群は,昨年7月に発表されたCatalyst 2950/3550シリーズのラインナップを増強するもの。10BASE-T/100BASE-TXに加え,ギガビットイーサネット(GBIC,もしくは10/100/1000BASE-T)をポート構成の中心に持ってきていることが特徴で,エンタープライズのバックボーンやワイヤリングクローゼットをターゲットとしている。
今回発表されたスイッチ製品群は,同社が従来から提唱している企業の生産性向上とコスト削減,双方をさらに推進するためのものという。
「昨年はブロードバンドの普及によって,キャリア側の設備投資が進んだ。今年はその環境を使い,エンタープライズがどのように効率の高いネットワークを構築するかという年になる」(同社マーケティング統轄 インターネットスイッチング&アクセスソリューション本部長,山中理恵氏)
QoSやセキュリティ,信頼性を強化
新製品群の特徴は,ポート単価やバックプレーン容量といった分かりやすい数字はもちろんだが,それ以上にイーサネットそのものの高度化を図る機能が多数搭載されていることが特徴だ。既存機種と同様に,IGMPスヌーピングをはじめとするマルチキャスト関連機能もサポートしている。
たとえばQoSやトラフィック制御では,おなじみの802.1pに加え,WRR(Weighted RoundRobin)やDSCP(Differentiated Services Codepoint:DiffServの優先度情報)に対応。特にCatalyst 3550シリーズでは,Cisco CIR(Committed Information Rate)機能のサポートにより,8Kbps単位で帯域幅を保証できるという。
また,アクセスコントロールリスト(ACL)ベースのセキュリティ機能や802.1QベースのVLANもサポート。中でも,ACLルックアップはハードウェアベースで行われるため,転送レートを維持しながらセキュリティを実現するという。
さらにスパニングツリープロトコル(STP)のほか,同社独自の技術であるCisco UplinkFastといった技術を実装することで,ネットワークトポロジのアベイラビリティと信頼性を確保した。Catalyst 3550シリーズはさらに,機器の冗長化をサポートするHSRP(Hot Standby Routing Protocol)も実装している。
耐障害性,アベイラビリティの向上という意味では,802.1w/sのサポートが期待されるところだが,これらは出荷段階では実装されず,今年中にソフトウェアアップグレードの形でサポートされる見込みだ。
数秒単位での障害回復を実現するというCatalyst 3550シリーズ |
また管理やコントロールの点では,ネットワーク専門家が少ない中堅以下の企業での導入をサポートするべく,新たにWebベースの管理ツール「Cisco CMS(Cluster Management Suite)」が提供される。従来のコマンドラインでの操作に代わり,GUIベースで機器の設定,管理が行えるという。
なお,Catalyst 2950シリーズは,ワイヤレスLAN環境における認証をサポートする802.1x標準に対応している。Catalyst 3550シリーズも追って,802.1xをサポートする計画といい,これは,今後同社が力を入れるというCisco Mobile Office(CMO)の実現においても重要な機能になるだろう。
問題はキラーアプリケーション
Catalyst 2950シリーズの新製品には,10BASE-T/100BASE-TXポートの数によって「2950G-12」「2950G-24」「2950G-48」の3種類がある。2つのGBICを搭載した1Uサイズのスタッカブルスイッチで,スイッチング容量は最大13.6Gbps,スループットは最大で6.8Gbpsという点は共通である。他に,データセンターでの利用を想定し,DC電源をサポートした「2950G-24-DC」も提供される。価格はいずれもオープンプライスだ。
一方Catalyst 3550シリーズも,10BASE-T/100BASE-TXポートの数によって「3550-24」「3550-48」の2種類がある。いずれも2つのGBICを搭載した1Uサイズのスタッカブルなマルチレイヤスイッチで,さらに動的IPルーティングをフルに実現する「EMI」(Enhanced Multilayer Software Image)搭載の有無によって,それぞれ2タイプに分けられる。価格は,Catalyst 3550-24-SMIが58万8000円,Catalyst 3550-48-EMIで131万円などとなっている。
なお,別途CD-ROMで提供されるソフトウェアを利用すれば,SMI(Standard Multilayer Software Image)タイプからEMIタイプへのアップグレードが可能だ。このキットの価格は33万6000円となる。
さらにCatalyst 3550シリーズとして,GBICを10個,10/100/1000BASE-Tポートを2個搭載した「Catalyst 3550-12G」も発表されている。こちらの価格は168万1000円だ。
シスコをはじめ,各社が提供する高速ネットワーク機器によって,帯域をふんだんに使うアプリケーションを容易に使える環境が整いつつある。そうしたアプリケーションの例として,ストリーミングやe-ラーニング,VoIP,ストレージといった候補も出そろいつつある。
だが,実際の普及となるとこれからというのが現実だ。山中氏も,問題は「キラーアプリケーション」と認める。新Catalystシリーズで提供される豊富な帯域を活用できるアプリケーションを,企業が本当に必要とするかどうか,必要と感じるだけの魅力を生み出せるかどうかが,今後のカギを握ることになるだろう。
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[高橋睦美 ,ITmedia]