Notesらしさを残し,Notesくささを排除した「Notes 6」

【海外記事】 2002.01.29

 米IBMのロータスソフトウェアが米国フロリダ州オーランドで開催中の「Lotusphere 2002」カンファレンスで,Lotus Notesの次期バージョンである「Lotus Notes 6」の機能詳細がお披露目された。Notes 6は既報の通り,DominoやDesignerとともに,30日以内にプレリリース版が出荷され,第3四半期には正式版のリリースに向かう予定だ。

 そこで今回,Lotusphereで紹介されたクライアントとしてのNotes 6の機能が,どのように改善されているかを紹介する。

Notesらしさを残してNotesくささを排除

 Notes 6は,スクリーンショットだけを見ると,従来版とさほど大きな違いはないかもしれない。左に置かれた頻繁に利用するフォルダのアイコンや,基本的な画面の構成,カスタマイズ可能なWelcome画面,ツールバーやメニュー構成などに大きな変更点はない。

大きな違いを感じない「Notes 6」のWelcome画面

 しかし,幾つかの点で従来のNotesでは行えなかった操作性を実現しているのも事実だ。もっとも大きな違いはスケジューラの操作性にある。

 Notesのスケジューラは従来より,グループスケジューリングのワークフローがよく練り込まれ,全体的な作業の流れが非常にスムースに行える優れたものだった。一方で操作性の面では,ほかのクライアントソフトウェア(マイクロソフトのOutlook)などに劣る面もある。

 例えば,スケジュールの内容をビュー画面上で直接変更できなかったり,タイムテーブル上でスケジュール枠をドラッグして編集するといった,Windows用スケジューラでは一般的な操作をNotesでは行うことができなかった。しかし,Notes 6のスケジュール機能では,これらの問題がすべて解決されている。

「Notes 6」のスケジュール機能では,多くの問題が解決された

 従来,Notesはスケジュールデータを含め,すべての情報を文書データベースに保存し,そのデータベースをさまざまなビューで見せることにより,各種機能の画面表示を実現している。このため,画面上に配置されている要素はデータベースから変換・生成された情報に過ぎず,双方向の更新を行うことができなかった。

 Notes 6では,ビュー上のデータから,それが引用されている元のデータフィールドを更新可能なように改良されており,その結果,スケジューラに「今風な」操作性を加えることが可能になっている。分類項目ごとに色分け表示を行う機能なども加えられ「1度使えば,2度とR5やR4.xには戻れない」という。このほか,Palm OS機,Windows CE搭載PDAとのスケジュールの同期もサポートしている。

 アプリケーションデザインツールであるDesigner 6では,これに伴ってビュー上で変更されたデータを元のデータベースのフィールドに反映させられるように,ビュー上の項目プロパティに新しいオプションが設定されている。

 従来も外部データベースシステムとの接続において,ビュー上の変更内容を反映させることは可能だったが,より容易にNotes内で自己完結できるようになったため,スケジューラだけではなくほかのさまざまなアプリケーションの操作性を向上させる効果を期待できる。

 あらゆる情報をデータベース管理する一貫性のある設計はNotesの美点だが,そのために犠牲にされていた操作性は少なくない。しかし,新バージョンでは,「Notesらしさを残したままで,Notesくさい操作性を改善」している。

あらゆる面で操作性に配慮

 見た目こそ大きな違いを感じないWelcome画面だが,新バージョンではファイル内容やデータベースビューを分割ウインドウに割り当てられるなど,より柔軟性が増している。Welcom画面のカスタマイズを行うウィザードが改善されたほか,作成済みのWelcome画面内で各ウインドウに表示するビューを,オンデマンドで選択可能になっているのが大きな違いだ。

 受信メールボックスも,添付ファイルをドラッグ&ドロップするだけで,ファイルシステムに書き込めたり,表示項目をドラッグ&ドロップでカスタマイズしたり,メッセージをスレッドや分類で色分け表示するといった機能が加わった。新着ファイルの表示もリアルタイムに更新されるようになったため,ビューのリフレッシュを行う必要がなくなっている。

ドラッグ&ドロップでカスタマイズが可能なNotes 6の受信ボックス

 また,1台のPCを複数ユーザーが利用できるように,データの保存方法を共通部分とユーザー個別の部分に分割して保存し,ユーザーごとに切り替えてNotesを利用できるようにもなっている。逆に別々のPC間で,同じユーザーが同じ環境でNotesを利用できるよう,ユーザーローミングの機能も加えられている。

 これらの機能は,パーソナル情報をサーバ側に持たせることで実現している。この新機能を利用すれば,社内の別々の場所,あるいは自宅と会社,デスクトップPCとノートPCなど,異なるハードウェア間で同じ環境を利用した作業が可能になる。

 このほか,あらゆるデータをサーバとの間で圧縮して通信することで,パフォーマンスが向上したり,新しいDominoとの組み合わせで,管理ツールからNotesのネットワークインストールが行えるようになるなど管理機能の面でも強化が実現されている。

関連リンク

▼ロータスソフトウェア

[本田雅一,ITmedia]