パフォーマンスアップと管理コスト削減を実現したDomino 6

【海外記事】2002.01.31

 米IBMのロータスソフトウェアが開催中の「Lotusphere 2002」でお披露目されたNotes 6は,見た目や使い勝手など,エンドユーザーの目に触れやすい部分での大幅な改良が行われ,ユーザーならば誰もが「体感できる」差を感じることができる。これに対して,Domino 6のアップデートは非常に地道なものだ。派手な機能が飛び交っているわけではない。しかし,より優れたサーバソフトウェアとなるための重要な機能がその中には詰まっている。

 まず,挙げられるのが信頼性向上のための機能追加だ。今回はハートビートをモニターすることでシステムのリスタートを自動的に行うようになった。また,データベース形式がアップデートされ,添付ファイルの圧縮率が向上したほか,シングルコピーテンプレート(SCT)という機能が追加されている。

 SCTは,アプリケーションのデータベースファイル本体とは別に,テンプレート用データベースを用意しておき参照するテンプレートを共有する機能で,設計要素に必要な情報を一元化することでハードディスクリソースの節約を行えることができる。また,トランザクションログの記録方法なども改良が行われ,パフォーマンスが向上しているほか,ビューごとにログ記録を行うか否かを設定するプロパティが追加されている。

 さらに,レプリケーション時にネットワークの遅延時間によって受ける影響を最小限にするため,データ転送にストリーミング技術を応用。ネットワーク通信時の全データを圧縮するオプションも追加されるほか,IPv6のサポートやクラスタの管理機能,パフォーマンスなどが強化された。

 そのほか,WebDAVサポートやフロントエンドにWebSphereを利用するためのプラグインの装備,内蔵Webサーバの改良による設定の簡略化と信頼性・パフォーマンスの強化などが盛り込まれている。

高機能化した新しいWebベースの管理ツール

 管理ツールの改善もニュースの1つと言えるだろう。Webベースの管理クライアントは完全に書き換えられ,またポリシーベースの管理手法を利用可能になった。

 ポリシーベースは,グループやドメインなど,リソースの管理単位ごとに管理パラメータを設定する方法で,大規模の組織を管理する最に,手間を大幅に省略することが可能になる。アーカイブ設定やバージョンの管理,パスワード管理やクライアントプログラムのネットワーク配布など,さまざまな面で集中管理を行える。

 またチボリのモニタリングツールも利用可能になった。サーバ内のキーコンポーネントがうまく動作しているか,解決すべき問題がないかをモニタできるほか,サーバの利用状況(接続ユーザー,利用プロトコル,データベースの状態など),クラスタの負荷分散状況など,数多くの情報をリアルタイムで監視することが可能になる。

 このほかにも,ディレクトリプロトコル,ディレクトリシステムとの連携やサポートの拡大やセキュリティ機能の拡張,サーバ側で動作させる(SPAM防止などの)メールルールや容量制限,不在返信機能,メッセージの自動アーカイブなど,メールサーバとしての機能を強化。1サーバで複数言語をサポート(言語パックをアドオン形式で追加可能)し,ブラウザのロカール設定をサポートしたWebサーバモジュールといった多言語対応など,多岐に渡る改良が行われている。

 ハンズオンラボの担当者は「特に管理機能の充実や安定性の向上を見てほしい。パフォーマンスの向上も,テストを行えばすぐに判るレベルの進化を遂げている。管理コストやパフォーマンスアップを考慮すれば,アップグレードを行った方がトータルコストは安くなるはず」と話す。

 Dominoは,R5へのアップデートでも管理機能の強化やディレクトリシステムとの連携機能などが施されていたが,新リリースはさらに実用的な機能が多くなっている。大規模なDominoによるシステムを管理しているユーザーには,正式リリースまでが待ち遠しい製品となりそうだ。

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▼ロータスソフトウェア

[本田雅一,ITmedia]