セキュリティに力を入れる大塚商会

【国内記事】2002.2.08

 大塚商会は2月7日から9日にかけ,品川・ホテルパシフィック東京を会場に「実践ソリューションフェア 2002」を開催している。会場では,CAD関連製品から業務サポートアプリケーション,文書のデジタル化ソリューションやストレージ製品など,広範なソリューションが紹介された。

 中でも注目が集まっていたのが,同社が取り組みを強めているセキュリティ製品/サービス群である。

 たとえば,ウォッチガードが提供しているファイアウォールアプライアンス製品「Firebox III」シリーズに,監視・管理サービスを組み合わせたマネージドセキュリティサービス「WatchGuard LiveSecurity System」がその例だ。同社は他のファイアウォール製品についても,ファイアウォール運用支援サービスを展開するほか,ウイルス監視サービスやWeb改ざん防止サービスなど,幅広いセキュリティサービスを提供している。

 同社の製品担当者の説明によれば,「もちろん売り切りの形で購入するお客様も多いが,最近はセキュリティサービスに対する引き合いがかなり増えている。特に,規模が小さく,1人の管理者を置くことも難しい企業にとって,こうしたサービスは魅力的に映っている」という。

複数のセキュリティ手段を組み合わせることが重要

 会場では同時に,Webビジネスやブロードバンドなど,高い注目を集めるトピックをテーマとしたセミナーが開催された。

 2月8日に行われた「PDA活用の鍵!モバイルセキュリティ事例紹介」というセミナーでは,PocketPCやPalm,ZAURUSなど,多様なモバイル端末を利用したシステムにおけるセキュリティ対策について説明が行われた。

 この中では,プーマテックの「Intellisync Anywhere」やロータスの「ドミノ フォンコネクト」「ドミノ モバイルサーバー」,それにモバイルビジネスコミュニケーションズの「MBP(Mobile Business Platform)」など複数の製品について,デモを交えながら,モバイル環境におけるセキュリティを高める手段が紹介された。

 PDAや携帯電話を何らかの形で業務に利用し,生産効率を上げようと考える企業は多い。だが,同社のマーケティング本部PDAプロジェクトマネージャの丸山義夫氏は「まず,社員それぞれの業務やデバイスの種類によって,接続すべき社内システムやアプリケーションが異なってくることに留意すべき」と指摘した。

 その上で,「業務アプリケーションも利用するのか,メールとグループウェアの利用程度にとどめるのかなど,まず最初に,モバイルを企業の中でどう活用するかをきっちり位置付けることが大事だ」と述べた。

 同氏によれば,現在モバイル環境においてセキュリティを実現する手段は,リバースプロキシ,もしくはベーシック認証によるものがほとんどだという。だが,「現実には,PDAのメモ機能を利用してIDとパスワードを記入しておき,実際にアプリケーションを利用するときにこれをコピー&ペーストして利用しているというユーザーも多い。いちいち入力するのは面倒だからだ」(丸山氏)

 これでは,たとえば端末をどこかに落としてしまったときには,そのまま悪用されてしまう可能性が高い。したがって,端末認証やリバースプロキシなど,複数の手段を組み合わせていくことが重要だ。

 結局のところ,セキュアなモバイルシステムを構築するには,「端末そのもの,キャリアのネットワーク,社内と社外を結ぶ部分,そしてアプリケーションと,4つの層に分け,それぞれについてセキュリティを考える必要がある」と丸山氏は言う。もちろん,必ずしもこれら4つの層すべてを実現する必要はない。コストやアプリケーションの重要度,そして自社のセキュリティポリシーと照らし合わせながら,必要なセキュリティを実装していくべきだとした。

「いろいろな端末に対し,1つの仕組みだけでセキュリティを維持するのは難しい」(丸山氏)

 その意味で丸山氏は,キャリアや端末の種類に左右されず,ユーザーに必要なアプリケーションのみを提供できることから,MBPに注目しているという。「(MBPを利用すれば)同じ人物が携帯電話でアクセスしたときはメールのみ,PDAから接続した場合には特定のアプリケーションも提供するといった具合に,木目細かくセキュリティを実現できる」(同氏)からだ。

 大塚商会として本格的にMBPの販売活動を開始するのはこれからだが,同社自身がMBPを利用した仕組みをサービスとして提供したり,ホスティングサービスのメニューに取り入れていく可能性も検討しているとのことだ。

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[高橋睦美 ,ITmedia]