セキュリティを念頭に置いてMetaFrameを強化するシトリックス

【国内記事】2002.2.08

 シトリックス・システムズ・ジャパン(シトリックス)は2月7日,プレス向けの説明会を開催し,サーバベースコンピューティングを実現する「MetaFrame XP」の今後のロードマップを説明した。この中で同社は,特にセキュリティの確保を念頭に入れ,今年幾つかの新製品を投入していく計画を明らかにしている。

 MetaFrameは,Windowsプラットフォームの持つターミナルサービスの機能を拡張し,リモートのさまざまな環境からWindowsアプリケーションを利用できるようにするための製品。管理機能や印刷機能が充実していることが評価され,国内でも約2500社が導入しているという。

 製品が登場した当初は,MetaFrameサーバとICA(Independent Computing Architecture)クライアントを用いたシンクライアントコンピューティングによって,帯域が限られたWAN回線の中で,スムーズにアプリケーションを利用できるようにするという部分にポイントが置かれていた。

 だが高速接続が普及してきた最近では,むしろアプリケーションやユーザーの統合管理やエンタープライズポータルとの統合といった付加価値の部分で差別化が図られている。これは,ICAクライアントと同様の機能をWebブラウザで実現する,「NFuse」のリリースによってさらに強化されている。

 そして昨年11月には,「Citrix MetaFrame XP, Feature Release 1」を発表し,サーバベースコンピューティングにおいてしばしば課題とされるプリント機能を強化したほか,SSL暗号化機能を付け加えた。

 同社は一連の機能強化の狙いは,あくまでB2Bであり,エンタープライズ環境に信頼性あるアクセスをどの環境にも提供するという同社の方針に沿ったものだと強調した。

セキュリティ強化を念頭にQ3には新製品群を投入

 今回説明されたロードマップによると,同社では,マイクロソフトが推し進めている.NETサーバへ即時に対応できるよう開発を進めているという。また今年第3四半期には国内で「Citrix MetaFrame XP, Feature Release 2」(FR2)を提供し,さらに機能強化を図る計画だ。

 FR2ではまず,管理機能をいっそう強化する。複数の管理者による管理作業を想定し,権限のアサインを木目細かく行えるようにするほか,ユーザーポリシーのカスタマイズをより詳細に行えるようにする予定だ。

 また同時期に,セキュリティ強化を目的として「Citrix Secure Gateway 1.1」を国内市場に投入するという。この製品は,SSL 3.0のサポートや,MetaFrameサーバを外部ネットワークから保護する機能を提供するもので,懸念の高まるセキュリティを強化し,信頼できる安全な環境でサーバベースコンピューティングを実現するという。

 さらに,「NFuse 1.7」のリリースも予定されている。これには,まだ詳細は未定ながら,サーバファーム間の垣根を取り払い,MetaFrameの機能をエンタープライズ規模に拡大して利用できるようにする「Enterprise Service for NFuse」と呼ばれる機能が盛り込まれる計画だ。これも,FR2と同時期のリリースになる予定である。

 その後には,コード名「South Beach」と呼ばれる新製品が控えている。これはNFuseをさらに進化させた製品となり,Webブラウザ上で各種コンテンツや文書の表示・管理・検索を行えるほか,ナレッジマネージメント機能などを統合していくという。

 同社では一連の新製品によって,ユーザーがどこにいようと,オフィスと同じアプリケーションに安全にアクセスできる,「バーチャルワークプレース」の実現をいっそう推進していくとしている。

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▼シトリックス・システムズ・ジャパン

[高橋睦美 ,ITmedia]