富士通とアクセンチュア,情報システム開発で提携

【国内記事】2002.2.12

 富士通とアクセンチュアは2月12日,都内のホテルで記者発表会を行い,ITを活用した情報システムの開発で提携すると発表した。富士通の持つ技術力と,アクセンチュアのコンサルティング事業でのノウハウを生かし,顧客企業へのトータルなサービスの提供を目指す。サービス提供の対象となるのは,成長が見込まれる国内の製造業や,e-Japan構想下にある自治体など。システムインテグレーション(SI)や経営戦略の立案,業務プロセスの改善,戦略的なアウトソーシングサービスの提供などの分野で協力していくという。

 なお,アクセンチュアは2001年4月に,東芝およびオラクルと,ERP,SCM,CRMのソリューションサービスを提供する合弁会社を設立することでも合意している。

富士通の広瀬専務取締役(右)とアクセンチュアの森正勝社長

 アクセンチュアの森正勝社長は,「経営コンサルティングやBPRの分野でも,今やITは絶対条件」と話す。「ハードウェアや運用を考慮するとアクセンチュアだけでは心もとない。ナンバーワンだけが残る時代に,富士通と組んで日本最強のコンビネーションを目指す」としている。

 協業活動では,電機および精密機器などの製造業をはじめとした市場別の協業の推進,企業経営者を対象とする教育ビジネスの共同実施などを検討する。協業チームは,両社から専任の担当者が派遣され,およそ30名で構成されるという。

 両社の共同組織の体制は,森氏と広瀬氏の2人によるトップミーティング,両社4名ずつ計8名で構成される協業推進会議,各分野別の協業チームという3段階で構成される。

 協業チームは,企画/調整,電機/精密,自動車,自治体広域連携ソリューション,教育,戦略的アウトソーシングの6分野に分かれる。市場分析などによるマーケティングや,企業への提案書作成,コンサルティングなどの役割をそれぞれ果たしていくという。

 また,特に強調されたのはアウトソーシング分野。森氏は,日本の製造業の経営体制を改善するにあたり,管理業務の合理化がポイントになるとする。ここでは,従来のようにコスト削減だけを目指すのではない,経営戦略的な視点からのアウトソーシング導入を考える必要があるという。

 一方で,広瀬氏も,現状行っている富士通のアウトソーシングについて,「戦略的とは言えない」としており,アウトソーシング分野での協力関係にも前向きにであることを示した。

 この提携により,富士通は3年間で2000億円の売り上げを見込んでいる。

[怒賀新也 ,ITmedia]