メインフレーム事業が好調な富士通,世界最高速の「GS21 600」を投入

【国内記事】2002.2.21

 依然として多くの日本企業が,基幹システムをメインフレームに頼っている。1990年代に入って一時は死亡宣告を受けたメインフレームだが,富士通によると,2000年度に700台だったメインフレームの販売が,2001年度は800台まで伸びるという。事業統合や企業合併に代表されるようなシステムの大規模化もあって,出荷した総MIPS値も1999年を1とすると2001年は1.6へと急増している。

 メインフレーム国内シェアトップの富士通は2月21日,世界最高速の「GS21 600」を発表した。都内で行われた記者発表会でコンピュータ事業本部長の「従来機のリプレースに加え,大規模社会システムの基盤としての導入もあり,大きな伸びこそ期待できないが,きちんとしたマーケットはある」とし,メインフレームが依然として同社にとって重要な事業であることを強調した。

 0.13ミクロン銅配線のCMOS技術を使った新開発のプロセッサでは1GHzまでクロック数を高め,2次キャッシュもダイに載せるなどして単体の性能は1.7倍まで引き上げている。16CPUのシングルクラスタ最上位となる「モデル160」では,CMOS大型汎用機としては世界最高速の3000MIPSというシステム処理能力を実現する。

 また,最大16台(最大256CPU)までクラスタ化できるマルチクラスタモデルも用意される。

 メインフレームでありながら,ギガビットイーサネットやファイバーチャネルをサポートしているのも富士通のGSシリーズの大きな特徴だ。企業システムは,基幹システム同士の統合やUNIXシステムとの連携,あるいはブロードバンドインターネットへの接続が求められている。そうしたニーズにこたえるべく,富士通ではメインフレーム,UNIXサーバ,IAサーバを適材適所で組み合わせる「マルチサーバ型システム」を提案する。ファイバーチャネルによってSAN(Storage Area Network)に接続し,オープンシステムとのファイル共用も可能だ。

 GS21シリーズには,OSと各種ミドルウェアをパッケージした「Global System Software 21」が提供される。OSIV/MSPやOSIV/XSPといったOSと,Webアプリケーションサーバ「INTERSTAGE for GS」を組み合わせたインターネットサーバパックやマルチサーバ間でデータ交換やデータ共用を図る「XLシリーズ」を組み合わせたマルチサーバシステムパックなど8種類が用意されるている。

 昨年末時点で1万4000サーバという国内トップレベルの出荷実績を誇るINTERSTAGEには,CORBA,XML,J2EE(Java 2 Enterprise Edition)をサポートしており,既存資産を有効に活用しながら,インターネットビジネスへ迅速に対応できるよう標準技術を組み込んでいる。

 ソフトウェア製品本部基盤ソフトウェア事業部長を務める堀洋一氏は,「OSは大きく変わっていないが,既存システムとの親和性を維持しながら,標準技術への対応やサーバ間連携の機能を強化している」と話す。

 前日発表されたIBMの最新モデル「z800」(コードネーム:Raptor)に関して,個人的な見解と前置きしながらも,「既存のソフトウェア資産が生かせないのではニューモデルと言えない。単に価格政策上の産物に過ぎない」と一蹴している。

 ただし,それだけに価格も極めて高い。シングルクラスタモデルが8807万円から,マルチクラスタモデルは1億3811万円からとなっている。当然ながらこれは月額レンタル料で,ちなみに買い取り価格は44倍に設定されている。

 11月末から出荷が始まり,3年間で150台の販売を予定している。

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[浅井英二 ,ITmedia]