「マイクロソフトとIBMは人類の敵」とサンのマクニーリCEO

【国内記事】2002.3.07

 歯に衣着せぬサン・マイクロシステムズの創業者が,マイクロソフトやIBMを「人類の敵」と攻撃し,同社が帝国支配に対する反乱軍のリーダーとして先頭に立って戦う決意を示した。

 都内のホテルで約1年半ぶりの来日記者会見を行ったサンのスコット・マクニーリ会長兼CEOは,その鋭い舌鋒が相変わらず冴えた。ドットコムバブル,インターネットバブルの消失から業界や世界を覆った景気低迷については,「バブル消失後も60億ドル以上のキャッシュを保有している」と,低迷する同社の株価も意に介さずといったところだ。

「キャッシュ以上に重要なことは,20年前には何十も乱立したコンピュータアーキテクチャを2つに統合したこと」とマクニーリ氏は胸を張った。

「トップ10リスト」こそなかったがマイクロソフト「口撃」も冴えた

 日米欧,それぞれの市場にメインフレーマーからミニコンメーカー,UNIXシステムメーカーが群雄割拠していたのはもう遠い昔のことだ。ほとんどのメーカーはシェアを失い,業界再編の中で消えてしまった。

「1つは,“.Not”いや“.Net”(笑い)。そして,もう1つはわれわれのSun ONEだ」(マクニーリ氏)

 マクニーリ氏は,.Netは依然32ビットでクローズ,しかもウイルスが得意で,企業らが築き上げた顧客のコミュニティーをPassportでハイジャックしようとしている,と畳み掛けた。

「人類とマイクロソフトとの戦い」とまで言った。

 彼は,マイクロソフトとの戦いをデベロッパーコミュニティーをめぐる「空中戦」と位置付ける一方,IBMとの戦いは「地上戦」とした。

「彼らはもはやアーキテクチャで勝とうとはしていない。暗闇に紛れてIBMグローバルサービスの部隊を投入し,企業の財布の中身をバキュームで吸い込んでしまう」(マクニーリ氏)

 サンには,数多くのパートナーがあり,彼らから最良の製品が選択できるが,IBMは常に自社製品だけを売り続けているというのが彼の主張だ。

 マクニーリ氏は,JavaOneカンファレンスのキーノートなどでも,OHPというローテクを使い,手で図を書きながら説明をすることがある。この日も,サンが20億ドルもの研究開発費を投じて,強化を続けている幾つかのビルディングブロックを書き始めた。それらは,「Sun ONE」であり,垂直方向のスケーラビリティを誇る「Sun Fire」シリーズであり,水平展開する「Netra」や「Cobalt」アプライアンスだ。

 一般にはサーバと呼ばれているが,サンでは電話並みの高い信頼性を実現したいという意味を込め,「Webトーンスイッチ」と全体を総称している。

 2月上旬,「サンがLinuxに注力」といった報が一斉に流れたが,マクニーリ氏は「Linux? われわれは無償のコンポーネントとしてCobaltなどに組み込んでいるのに過ぎない。2〜3年すれば,再び垂直方向へのスケーラビリティに優れたSolarisの出番だ」と,Solarisオペレーティング環境を核に据える戦略に変わりがないことを強調した。

「垂直方向のスケーリングが過去のものという人はいない。そのスケーラビリティはだれにも負けない」(マクニーリ氏)

[浅井英二,ITmedia]