インテル,ハイエンドサーバ向けマルチプロセッサ「Xeon MP」を発表

【国内記事】2002.3.13

 インテルは3月13日,ミッドレンジ/ハイエンド向けマルチプロセッサ・サーバプラットフォーム「Xeon MP 1.6/1.5/1.4Ghz」を発表した。企業システムにおけるコスト削減へのニーズが世界的に強まる中で,低価格を売りにしてきたIAサーバが,信頼性や拡張性といったユーザビリティをまた一歩前進させることになるかもしれない。

 インテルのe-マーケティング本部長を務める佐藤宣行氏は,「不況がむしろ追い風になり,IAのシェアが拡大している」と話す。同社の製品が,企業システムの中に順調に浸透してきていることをアピールしている。

 実際に,IDCのMPサーバ市場調査では,ワールドワイドでは60%以上,日本でも55%近くと,高い水準を示す。日本に関して言えば,ITバブルとも言われた1999年には,IAのシェアは40%強に留まっており,佐藤氏が言うように,不況がインテルを後押しする格好になっている。

 一方,同社と同盟関係にあるマイクロソフトは.Netにおいて,セキュリティなどに関して批判を浴びながらも,製品の質の向上を図り,UNIXやメインフレームに代わって,企業の基幹システムに食い込もうとしている。クオリティを向上させたハードウェアを投入していくインテルとマイクロソフトの協調関係は,Solarisやhpuxを推進するサン・マイクロシステムズ,ヒューレットパッカードにとって,ますます脅威になっていきそうだ。インテルは,安田火災海上保険などに導入したシステムが安定稼動していることなどを,導入事例として大きくアピールしている。

 そういった市場環境の中で,64ビットサーバのItaniumの開発と並行して,32ビットのXeonにインテルは強くコミットしている。先日の2月26日には,サーバ向けプロセッサ新製品「Xeon 2.20/2.0/1.80GHz,512KバイトL2キャッシュ」をリリースしている。

 この日発表されたXeon MPは,NetBurstマイクロアーキテクチャ,ハイパースレディング,L3キャッシュを採用しており,I/O帯域幅も向上している。負荷の大きさに応じてプロセッサを追加できるスケールアップモデルにより,サーバ設置スペースの節約や,システムの集中管理が可能になることで,ユーザー企業はTCOを削減できるという。4Way以上のハイエンドマシンに最適化され,Pentium III Xeon 900MHzのリプレース版となる。

 同社がXeon MPについてアピールしているのは,予測を超えるワークロードへの対応能力を発揮する「ヘッドルーム」。4/8Way以上をサポートし,複数のCPUに負荷を分散することができる。また,e-ビジネスなどにおいて,トランザクションが増えた場合でも,CPUを増やすことによってスケールアップできる。このため,新たにサーバを購入せず,占有面積も節約できる。また,1台または少数のサーバで集中的にシステムを管理するシンプルな環境が実現することで,TCOの削減効果も見込めるという。

 Xeon MPでは,1Mバイト,512KバイトのL3キャッシュ,256KバイトのL2キャッシュという3つのレベルのキャッシュを統合している。また,チップセットには,サードパーティー製品「ServerWorks」が採用される。

 また,Xeon MPベースのサーバは,最高で32Gバイトのメモリをサポートし,3つ以上のPCIバス,8個以上のスロットと,I/Oも拡張できるとしている。

 この日,同社は,IA-32の製品ロードマップも明らかにしている。4〜8Way以上のバックエンドサーバでは,2002年の第1,2四半期は,今日発表された0.18ミクロンベースのXeon MP,それ以降に関しては,0.13ミクロンプロセスの新製品で,コードネーム「Gallatin」を投入する予定になっている。

 また,普及価格帯となるDual Processor分野では,2003年まではXeon(Prestonia)とE7500チップセットの組み合わせを展開し,それ以降には,「Nocona」(コードネーム)が投入される予定になっている。

 なお,Xeon MPの1000個受注時における価格は,Xeon MP 1.6Ghz(1MバイトL3キャッシュ)は49万7680円,Xeon MP 1.5Ghz(512KバイトL3キャッシュ)は26万6900円,Xeon MP 1.4Ghz(512KL3キャッシュ)は15万8660円となっており,いずれも3月13日から出荷が開始される。

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[怒賀新也 ,ITmedia]