VA Linux,オープンソースソフト開発サイト「SourceForge.jp」を運用開始

【国内記事】2002.3.19

 VA Linuxシステムズジャパンは3月19日,米OSDN(Open Source Development Network)が運用するオープンソース開発者向けポータルであるSourceForge.netの日本語版「SourceForge.jp」の運用を,4月中から開始することを明らかにした。同社のOSDN事業部が運営しているOSDNジャパンが事業を展開する。SourceForge.jpでは,SourceForge.netで提供されているLinuxカーネル向けドライバや,OSに関わるソフトウェアなど,さまざまなオープンソースソフトを日本語でも利用できるようにするという。なお,運営開始日については後日発表するとしていてる。

「インテルのIA-64向けOSもSourceForge.netをプラットフォームとして開発されている」と話す同社。上田哲也社長は,SourceForge.netが,オープンソースソフトウェア開発向けサイトとして担う役割の大きさを強調する。

 米OSDNが運営するサイトとしては,開発者向けのSourceForge.netのほか,ディスカッションが中心の「Slashdot」,オープンソースソフトウェアの発表の場となる「Freshmeat」が展開されている。このFreshMeatやSlashdotを通じて,SourceForge.netとSourceForge.jpが情報を共有していくという。

 SourceForge.netでは,PythonやTcl/TKなどのプログラミング言語,MySQLやFirebirdといったデータベースエンジンやミドルウェア,GUI,デスクトップアプリケーション,サーバアプリケーション,PDAツール,CRMシステムなど,さまざまな領域のソフトウェア開発が行われており,世界でも最大級の規模になっている。

 米国の大手企業の多くと同様に,日本でも,IBMとNEC,日立製作所,富士通の4社によるエンタープライズLinuxに関する協業関係に基づき,LKST(Linuxカーネル状態トレーサ)が,SourceForge.netを通じて開発されているという。

 また,SourceForge.jpの運営費は,見込まれる膨大なページビューを生かして,広告による収入を当てる。

 なお,米VA Linuxシステムズは,2001年6月にハードウェア事業から撤退,12月には社名をVA Softwareに変更し,Linuxにこだわらないビジネス展開を行うことになった。一方で,VA Linuxシステムズジャパンは,LinuxサーバなどのハードウェアをNECからOEMで調達して,Linuxによるビジネス戦略は継続するとしている。

 そして,同社は,コスト削減が強いられる景気後退も積極的に生かしていく考えだ。例えば,UNIXとOracleでオンライン系の処理システムを構築している企業には,「参照系のシステムはコストの低いLinuxベースで組みたい」といった顧客要求に柔軟にこたえていくとしている。

 今後は,Linux OSだけでなく,プロフェッショナルサービスやトータルなサポート体制,技術力を生かしたアプリケーション開発などによって,顧客に価値を提供するとしている。

 オープンソフトウェアは,コストが掛からない分,ユーザーの100%自己責任が大前提となっている。逆に言えば,それがLinuxの限界となり,クリティカルなシステム環境への導入が控えられるという経緯もあった。そのため,サービス重視に路線を変えることは,ユーザーにとってのLinuxへの信頼性を向上させることになるかもしれない。

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▼VA Linuxシステムズジャパン,オープンソースポータル日本版「OSDNジャパン」の運用開始

関連リンク

▼VA Linuxシステムズジャパン

▼SourceForge.net(英語サイト)

[怒賀新也 ,ITmedia]