デベロッパーフォーカス,原点に返るJavaOne

【海外記事】2002.3.25

 3月25日,カリフォルニア州サンフランシスコで「JavaOne 2002 San Francisco」が開幕した。例年6月に開催されていたJavaOneだが,7回目を迎える今年は時期を早めた。まだ雨季から乾季への変わり目といったところだが,「JavaOneの聖地」であるモスコーニコンベンションセンターでは桜がきれい開花を見せている。

 薄日が差してきたものの依然不透明感が漂う米国経済を反映してか,残念ながら参加者は前年から大きく落ち込んでいる。しかし,JavaOneが102時間に及ぶ大規模なマラソンカンファレンスであることに変わりはない。モスコーニと周辺のホテルでは,480のテクニカルセッションとBOF(Birds-of-a-Feather)セッションが毎夜遅くまで続けられる。

 昨年秋,エバンスが行った調査によると,54%のデベロッパーがJavaを利用しており,C++を抜き去った。2月中旬から提供が始まったばかりのJ2SE(Java 2 Standard Edition)1.4は,わずか1カ月間で100万以上のダウンロードを記録している。

「Javaは業界全体を変えようとしている」と話すのは,1996年以来JavaOneのホスト役を務めるサン・マイクロシステムズ チーフサイエンスオフィサーのジョン・ゲイジ氏。

「JavaOneはアイデアを交換する場。30人に会って,名刺を交換してほしい。そして,(Javaの)コードを書こう」

 本来ならこれはゲイジ氏のキックオフの言葉だが,彼のお株を奪ったのは,サンでソフトウェアシステムズグループの執行副社長を務めるパット・スルツ氏。今年は彼女もホステス役として,オープニングに登場した。

ジョン・ゲイジと共にホステス役を務めたパット・スルツ執行副社長(右)。日本人とのハーフである彼女はかつてIBMでJavaのデベロッパーコミュニティーを統括していた

 一時,ネットバブルを背景にマーケティング色が強まったが,スルツ氏は「今年のJavaOneはデベロッパーにフォーカスし,原点に戻る」と話す。

 展示フロアでは,200を超えるベンダーがJavaとXMLのソリューションを見せる。標準化され,モジュラー化されたEJB(Enterprise JavaBeans)コンポーネントによってマルチティアのエンタープライズアプリケーション構築を容易にしてくれるJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)では,スタンプラリーも行われている。

 また今回のJavaOneでは,シャープのLinux搭載PDA「Zaurus SL-5500」が特別販売され,早朝から買い求めるデベロッパーらが長い列を作った。

 このZaurusには,PersonalJava,ピアツーピアのJxta,そしてSOAP(Simple Object Access Protocol)が組み込まれており,会期中に「What Time Is It?」と呼ばれるプログラミングコンテストも行われる。Webサービスからグラフィカルな時計のイメージを受け取り,そこから時間を割り出し,それを値として返してやるという一連のクライアントサイドのアプリケーションをプログラミングするもので,ハンドヘルド端末とWebサービスのシームレスでエンドツーエンドの接続をデモンストレーションする効果を狙っている。

オープニング前から出来た長い列はモスコーニセンターの外まで続いている

長時間並んで手に入れたZaurusのパッケージをさっそく開けてプログラミングコンテストに参加するJavaデベロッパーたち

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[浅井英二 ,ITmedia]