JavaOne 2002 San Francisco Keynote:「コミュニティーの情熱がJavaの進化を支えている」とサンの副社長

【海外記事】2002.3.25

 3月25日,「JavaOne 2002 San Francisco」のオープニングキーノートには,サン・マイクロシステムズでJavaとXMLを統括するゼネラルマネジャーのリッチ・グリーン副社長が登場した。

 3月中旬,マイクロソフトに対する司法省の反トラスト訴訟で証言したばかりというグリーン氏は,Javaのデベロッパーコミュニティーの1つであるJavaロビーのリック・ロス氏による次の言葉を紹介することから始めた。

「Javaコミュニティーの情熱は,だれかや何かを崇拝するものではない。コミュニティーベースの標準化,複数ベンダーの製品が選択できること,ニーズの変化に対応できる技術力に対する信念だ」

11月に横浜で行われたJavaOne 2001 Tokyoでもキーノートを行ったグリーン副社長

 コミュニティーモデルとライセンスモデルをベースとしたJavaのデベロッパーは今や300万人に膨れ上がった。さらに現在もJava Community Process(JCP)では,200件近いJSR(Java Specification Request:Java仕様に対する要求)が約500社の参加を得て討議されている。

 こうした背景には,コンピュータだけでなく,携帯電話やテレビ,果ては温度計や衣服といった,およそ地球上のすべてのものに押し寄せようとしているインターネットの潮流がある。

「クライアントがネットワークアーキテクチャを定義し,ドライブしている」(グリーン氏)

 ARCグループの予測によれば,2001年に1500万台だったJava搭載のワイヤレスデバイス市場は,2006年に1億台を突破するという。

 ステージではノキアが構築したJavaミッドレット(携帯電話などで利用できるJavaアプリ)のためのe-マーケットプレイス,「Nokia Tradepoint」が紹介された。Javaミッドレットのデベロッパーとワイヤレス通信事業者を橋渡しをする同サイトでは,通常3カ月から4カ月かかってしまう契約締結をわずか数日で済ませることのできるオンライン契約の機能も提供している。

「Javaデベロッパーをサポートするチャネル」とTradepointを紹介するノキア幹部

 200件近いJSR(Java仕様に対する要求)の中には,台頭するWebサービスをワイヤレスデバイスに持ち込む「JSR 172」と呼ばれる仕様策定プロセスもある。

 一方,クライアントサイドにサービスを提供するアプリケーションサーバの領域でもJavaの快進撃が続く。BEAシステムズ,IBM,オラクル,そしてiPlanetを擁するサン自身も参加するJ2EE(Java 2 Enterprise Edition)陣営はアプリケーションサーバ市場の約9割を占めている。キガ・インフォメーション・グループによる最新のレポートによると,アプリケーションサーバ市場全体は,39%成長し,金額では21億9000万ドルに達している。

 J2EEの学習用サンプルプログラムとして書かれた「Pet Store」のコードを.Netで書き換えたら大きく性能向上したとマイクロソフトが主張したこともあったが,グリーン氏は,「リーダブルな学習用プログラムだった」と指摘,「IBMやオラクルが同様のe-コマースアプリケーションを書き直したところ,.Netより20倍も速かった」と,会場の拍手を呼んだ。

 Javaロビーのリック・ロス氏の言葉にもあるようにサンでは,複数ベンダーからの製品を選択できるが重要だと考えている。そのため,J2EEアプリケーションの互換性やポータビリティをテストするApplication Verification Kitがデベロッパーらに提供されている。

[浅井英二 ,ITmedia]