JavaOne 2002 San Francisco Keynote:Javaを知らない900万開発者にJ2EEのパワーをもたらすBEA

【海外記事】2002.3.29

 3月28日,4日目を迎えた「JavaOne 2002 San Francisco」のキーノートにBEAシステムズの創設者であり,社長兼CEOを務めるアルフレッド・チュアング氏が登場した。8年前,サン・マイクロシステムズからスピンオフしてBEAを設立した彼は,「やっとコンピューティングがすべての人の手元にやってきた」と,Javaが後押ししたネットワークデバイスの遍在化を素直に喜んだ。

「最近日本を訪れ,最大384kbpsの3G Javaフォン(FOMA)が実用化されているのを見て,この業界で何が起こっているのかが分かった。エンタープライズやモーバイルの分野でJavaが普及し,PCからインターネットの情報にアクセスするというモデルが変わっている」(チュアング氏)

 BEAは2月下旬,サンディエゴの「BEA eWORLD 2002」で,「BEA WebLogic Workshop」(コードネーム:Cajun)を正式発表した(製品版は今年夏出荷)。

 WebLogic Workshopの開発に大きな力となったのがエンジニアリング担当副社長のアダム・ボスワース氏だ。かつてマイクロソフトでXML標準のエキスパートとして働いたが,スピンオフし,クロスゲインを設立した経歴を持つ。昨年7月,BEAが同社を買収,現職に就いた。

 チュアング氏は,BEAがクロスゲインをはじめ幾つかの会社を買収して領域を拡大していることについて触れ,「コードが良かったとか,社屋が良かったということじゃない(笑い)。いつもイノベーションは人によって行われると信じている」とし,ボスワース氏をステージに招き上げた。

チュアングCEO(左)とエンジニアリング担当のボスワース副社長

 WebLogic Workshopは,J2EEのエキスパートでなくても,ドラッグ&ドロップでJ2EEベースのWebサービスを開発できる,まるでVisual Basicのようなフレームワークだ。

 ボスワース氏は,「フレームワークは,基本的なプログラミングを不要にし,デベロッパーが価値のある作業に集中できるようにしてくれるもの。しかし,.Netのようにカスタマーを縛り付けてしまうものもあれば,JavaのようにみんながJSR(Java Specification Requests)で仕様を策定しプラグインできるものもある」と話す。

 WebLogic Workshopのカギとなるイノベーションも,JSRとしてJava Community Process(JCP)に提出された。これは「Metadata Facility」と呼ばれ,プラグラマーが宣言を使ってビヘイビアを制御するもの。エンタープライズJavaプログラムがシンプルで統一された動きをするようコードの中に書き込めるようにしてくれるという。

「複雑になりすぎている。Javaのフレームワークはコンポーネントレベルだけでなく,もっとハイレベルになるだろう」(ボスワース氏)

 BEAでは,J2EEの複雑さを学ぶことなく,Webサービスを開発できるようデベロッパーを支援していくという。同社が見積もるそうしたデベロッパーの数は900万人に上る。

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[浅井英二 ,ITmedia]