分析ベンダーから統合CRMベンダーへ,エピファニーが新CRMスイート発表

【国内記事】2002.4.17

 エピファニー・ソフトウェアは4月17日,新CRMスイート「“E.6”」を発表した。現行バージョンのE.5は,分析機能に特化したものだったが,SFA(営業支援)企業の買収などにより実行系機能を取り込んだことで,完全なCRMスイートとして提供される。コンポーネントごとに順次出荷する。

 “E.6”は,現行製品である「E.5」のメジャーアップデート版。マーケティング用,コンタクトセンター用,サービス用とモジュールを切り分け,ソリューションモデルが分かりやすくなったほか,多くの新機能が追加されている。

 同社では,この新スイートを,「リアルタイムのデータ分析機能を搭載しながら,実行系のSFAやコールセンターモジュールも持つ統合CRM製品」と位置付け,「スマートCRM」を実現するソフトウェアとして売り込みたい考えだ。米国では既に出荷されている。

 同社は,E.5の「インタラクションプラットフォーム」で,セールス,コンタクトセンター,および顧客セルフサービスのためのソリューションを提供していた。ただし,この部分は,同社が最も強化しなければならないとしていた部分であり,日本では未出荷だった。米国では,買収したモス・ソフトウェアのSFA製品「ActiveSales」を組み込むなどの機能強化が行われており,今回のバージョンでようやくアーキテクチャが統一されたという。

 日本では全く新しい部分になるが,“E.6”では,ここが「“セールスE.6”」,「“サービスE.6”」の2つに分離された。“セールスE.6”は,旧モス製品をエピファニーのアーキテクチャに取り込んだSFAソフトウェアとして機能する。一方の“サービスE.6”は,電子メール,コールセンター,FAXなどのチャネル間で統一した顧客サービスを提供する,いわゆるコンタクトセンターソリューションを提供するほか,Webサイトを利用した顧客セルフサービスを促進するためのモジュールだ。

 また,E.5で「アナリティックプラットフォーム」と呼ばれていたキャンペーン管理および分析ソリューションは,マーケティング機能だけを「“マーケティングE.6”」として分離し,顧客情報分析/レポーティングのプラットフォームを「“インサイトE.6”」に軽量化した。リアルタイムのデータ分析を可能にするエンジン「パーソナライゼーションプラットフォーム」は,“マーケティングE.6”,“セールスE.6”,“サービスE.6”の共通分析エンジン「リアルタイム」として残っている。

 中でも“マーケティングE.6”では,同社が強みを持っていたキャンペーン管理機能に,さらに180に及ぶ機能強化が施された。例えば,製品ベースのフィルタリング機能や,ユーザー個人が必要とする指標を計算式で登録し,分析に利用する機能などが加えられたという。

“インサイトE.6”のレポート表示画面

 米エピファニーで製品開発を担当するフィリップ・フェルナンデス執行副社長は,「マーケティング,営業,顧客サービスのすべてをカバーした。“E.6”では,独自のデータモデルによって顧客情報をさまざまな角度から見ることができる」と話す。

 同氏は,中でも“サービスE.6”のコールセンター機能に期待しているという。同社にとって新たな分野だが,操作性は高そうだ。リコメンデーションエンジンと連携できるため,電話によるオファーと電子メールキャンペーンの相乗効果も期待できる。また,多くのCTI製品と連携させることができるという。

 アーキテクチャ面では,新たにJ2EE 1.2をサポート。無償で提供されているヒューレット・パッカードのhp application server 8.1をバンドルするほか,BEAシステムズのWebLogic 6.1,IBMのWebSphere 4.1にも対応する。

「あらゆるCRMパッケージの中で,最もオープンで統合が容易な製品と自負している」(フェルナンデス氏)

 “インサイトE.6”および“マーケティングE.6”を6月中に出荷する。続いて“サービスE.6”を2002年第3四半期(7月〜9月)に,“セールスE.6”を2003年第1四半期に出荷する計画だ。

 同社は,この新スイートで12月までに,新規顧客20社の獲得と,15億円の売り上げを目指す。

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[井津元由比古 ,ITmedia]