エンタープライズ:ニュース 2002/07/22 20:23:00 更新


日本IBM、文書から動画まで一元管理するContent Managerを強化

オフィスには構造化されていない文書やビデオのようなコンテントが溢れ、実にすべてのデータの85パーセントに達するといわれている。IBMでは、数値データとこれらの非構造化データを情報として統合し、Webを介して一元的に管理・アクセスできる「エンタープライズコンテント管理」が企業に不可欠だとし、IBM Content Managerの新バージョンを発表した。

 日本アイ・ビー・エムは7月22日、文書やメールから、画像、オーディオ、ビデオ、Webコンテントまで、あらゆるタイプのデジタルコンテントを一元管理し、さまざまなデバイスからWebを介してアクセスできるようにするミドルウェアの最新版「IBM Content Manager V8.1」を10月24日から出荷することを明らかにした。

 もともとオフィスには、文書のような構造化されていない情報が溢れている。そのボリュームはすべてのデータの85パーセント以上を占めているといわれる。これにブロードバンドインターネットの進展が拍車をかけ、音声や映像のようなコンテントも膨れ上がっている。構造化データの処理、特にトランザクション処理に長けているリレーショナルデータベースも、非構造化データの扱いは不得手だ。

 IBMでは、企業全体でこうしたコンテントを共有し、再利用を促進し、さらに効率的に伝達するための「エンタープライズコンテンツ管理」(ECM)フレームワークが求められているという。IBMのECMフレームワークは、下層からコンテント格納、インテグレーション、そしてECMアプリケーションの順でレイヤ化されている。構造化されたデータはDB2 UDBで、非構造化データはContent Managerでそれぞれ管理し、その上位のインテグレーション層でWebを介した統合的なアクセスを実現する仕掛けだ。

 記者発表会に出席したデータマネジメントソリューション事業部長の安田誠氏は、「これまでニッチな開発者向けの製品だったが、新しいContent Managerはインターネット標準をサポートし、全社規模やビジネスパートナーを巻き込んだコンテント共有も可能になる」と話した。

 IBMは、新しいContent Manager V8.1をベースとし、最新のECMフレームワークを提供することで、顧客サービスやデジタル資産の管理、遠距離学習、Web素材管理など、e-ビジネスを支え、企業の競争力強化とコスト削減に大きく貢献することができるとしている。

EIPを支えるContent Manager

 新しいバージョン8.1では、検索処理を25パーセント高速化したほか、コンテンツ管理に求められるAPIをさらに追加し、アプリケーションの開発時間を30パーセント短縮できるなど、基本的な性能や機能が改善されている。

 また、Webブラウザへの対応も進み、より多くの機能がThinクライアントから利用できるようになったほか、SAPやDomino、あるいはExchangeといった標準的なアプリケーションとの連携も容易になっている。

 IBMのECMフレームワークは、データ格納エンジンのほか、さまざまなモジュール群で構成されている。特に情報を統合して見せるインテグレーション層のミドルウェアは多彩で、「Enterprise Information Portal」や「WebSphere Personalization Portal」、著作権管理のための「EMMS」などがこの層に位置付けられる。

 ストリーミング配信のためのVideo Chargerもそのひとつで、今回強化された「Video Charger V8.1」ではMPEG-4が新たにサポートされている。また、EMMSとの連携も強化され、堅牢でセキュアな配信が可能となった。

 さらに、蓄積された非構造化データから貴重な情報を引き出すマイニング機能も強化している。バージョン8.1では、これまでのテキストマイニング機能に、東京基礎研究所が開発した「TAKMI」(Text Analysis and Knowledge Mining)の日本語解析技術が追加されている。

 同時に新しくなった「Enterprise Information Portal V8.1」と組み合わせることで、高度なカテゴライゼーション(自動分類)やサマライゼーション(自動要約)情報抽出、Webクローラー(情報収集)が実現できるという。逆の見方をすれば、IBM Content Managerは、生産性の高いポータルを構築するためには、欠かせないエンジンということができる。

 IBM Content Managerは、AIX、Windows NT/2000をサポートしてきたが、新たにSolarisもサポートされている。

 価格は、343万2000円となっている。

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[浅井英二,ITmedia]