エンタープライズ:コラム 2002/07/22 19:22:00 更新


Linux Column:電子メール管理をどうするのか

昨今、電子メールの重要性は高まるばかりだ。反面、止むことを知らないスパムメールやウイルスメール、セキュリティホールを狙った攻撃など、新米管理者が船出をするには待ち受ける海は暴風雨だ。メールサーバ管理に対する需要の高さがうかがえる。

 先週、筆者の会社が主催する「メールカンファレンス」というイベントを開催した。告知等が急だったにも関わらず、会場には70名以上の参加者が集まり、満席となった。何人かの人と話をしてみて、メールサーバ管理に対する需要の高さがうかがえた。

 昨今の事情を考えれば、電子メールというインフラの重要性は高まるばかりだ。反面、止むことを知らないスパムメールの嵐や、日々変化するウイルスメール、セキュリティホールを狙ったクラッカーたちの攻撃など、新米管理者が船出をするには待ち受ける海はあたかも大時化の暴風雨といったところだ。そのためベテラン管理者たちはこのように言う。

「しっかりと勉強して、それからやらないと……」

 確かに正論だ。何も勉強をせずに乗り切れるほど簡単なことではないのは事実だ。しかし、少し大事なことが抜けてしまっている。そう、「どうやって勉強するか」という点だ。この点について、ほとんどのベテラン管理者は後進に対して海図を示せていないのが実情ではないだろうか。

 つまり、これまでの牧歌的なインターネット時代からの経験者の持つスキルと、これから始めなくてはならないMail Newbieの間に明らかな断絶、いわゆる「カズム」(断裂・溝)が発生していると思われるのだ。

 既に分かっている人は自分が経てきたプロセスを後進にもトレースさせようと考える。しかし残念ながら、それは明らかに「時代が違う」場合が多い。先駆者が5年10年かけて培ってきたものを、後進は1〜3カ月で習得しなくてはならない時代になっているのだ。筆者もそれはおかしいと思うのだが、それが時代の要請なのだから如何ともしがたいところだ。

 カズムという言葉はマーケティング理論上の言葉だ。よく捉えればこれはビジネス上のチャンスということになる。カズムの断絶を埋めるサービスを提供することにより、大きな利益を得ることができるということだ。

 しかし日本のマーケットでは、このカズムに着目することは少なく、ともすると排他主義的に後進の批判に終始してしまうことがあるのは非常に残念なことだ。優秀な、経験的な技術を胸を張ってビジネスとし、より多くの幸せを生み出していきたいものだ。

[宮原 徹,びぎねっと]