エンタープライズ:インタビュー 2002/07/23 23:32:00 更新


Interview:高速検索エンジンのFAST、IBMとの協業で日本市場でも本格展開へ

検索エンジンというと日本ではGoogleを思い出すかもしれないが、欧米ではノルウェーのFASTが展開する「AlltheWeb.com」がそれを凌ぐ勢いで成長している。

 検索エンジンというと日本ではGoogleを思い出すかもしれないが、欧米ではノルウェーのFASTが運営する「AlltheWeb.com」がそれを凌ぐ勢いで成長している。FASTは、7月22日に、AlltheWebの機能を企業向けのソフトウェアとして提供する「FASTデータサーチ3.0日本語版」および、企業向け検索サービス「FASTウェブサーチ」をIBMの協力を得て展開することを明らかにした。日本アイ・ビー・エムの箱崎事業所には、両製品およびサービスについて、顧客の窓口となるサポートセンターも開設される。来日した同社のCEO、ジョン・M・ラービック氏に話を聞いた。

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ジョン・M・ラービックCEO。かつては検索技術を研究する学者だった。

ZDNet FASTの創立はいつですか

ラービック 1997年です。最初の製品を販売したのは1999年でした。現在は、米国本社、オスロにあるノルウェー本社、またドイツ、イギリス、日本にオフィスがあります。

ZDNet 世界における事業の現状を教えてください。

ラービック われわれの検索技術は欧米では既にデファクトスタンダードになっています。実際にIBMやデルコンピュータ、e-Bayなどのオンライン販売サイトに利用されており、顧客と製品を接続するという大事な機能を果たしています。OLTP(オンライントランザクション処理)においてもFASTデータサーチの技術は、検索対象データをリアルタイムにアップデートするため、ユーザーは一番新しい情報を得ることができます。Googleはコンシューマー向けの製品であり、企業向けで特に、ハイエンド市場ではわれわれにはライバルがいない状態です。

ZDNet 今回発表になった製品やサービスの基盤であるAlltheWeb.comは、どのようなものですか?

ラービック AlltheWeb.comは、だれでも利用できるFASTの検索技術のショーケースです。AlltheWebはインターネット上でも最大規模の検索エンジンの1つで、先日のウォールストリートジャーナルでも紹介されましたが、検索対象Webページが20億9556万に達し、Googleを少し上回りました。検索できるファイルは、Webページ、マルチメディア・ファイル、FTPファイル、MP3ソング、ビデオなどと幅広く、現在は49カ国の言語にも対応しています。機能には、リアルタイムのニュースインデックス、ダイナミック・クラスタリング、クエリー分析、UIのカスタマイズなどがあります。

ZDNet 日本市場での展開についてどう考えていますか、また、日本語版を作るに当たって苦労したことはありましたか?

ラービック 日本市場での展開にも力を入れています。既にエンジニアは1年半以上に渡って日本に駐在し、日本人のメンバーとともに製品ローンチに備えています。日本語版についても、ノルウェーなど北欧諸国の多くが多言語国家であるため、異言語を理解することの重要性については十分理解しています。例えば、セマンティックス(特定の表記にかかわらず、表現されている単語の意味に焦点を当てる考え方)の考慮などを行っています。

ZDNet FASTデータサーチ3.0日本語版を含め、FASTの検索技術が優れている点はどんなところですか?

ラービック データサーチ3.0のアルゴリズムは特許を持っており、「特殊なデータベース」を作り上げています。また、各種のコネクターが提供されているため、DB2やOracle、SQL Serverなどのデータベースとの連携や、Notes、PowerPoint、Web、また方言の多いXMLについても、ほとんどのものと互換性を持っています。

 また、ユーザーとしては、自由語検索やカテゴリーソート機能、最少構成のマシンでも200万ページの検索が0.2秒であること、携帯電話でも検索できるクライアントも用意されていることなどがメリットとなっています。

ZDNet 現在インターネット業界で話題に上っているWebサービスには対応しますか?

ラービック 対応します。IBMのWebSphereやほかのアプリケーションと統合して、検索技術をWebサービスとして提供できるようにする研究を行っているところです。



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[聞き手:怒賀新也,ITmedia]