エンタープライズ:ニュース 2002/07/24 23:46:00 更新


IAと調和するブレードサーバ(前編) (2/2)

 この3階層で言うと、フロントエンドのWebサーバは、ユーザーからのアクセスを受け付けて、ミッドティアやバックエンドに処理要求を行う製品だ。拡張は、サーバの数を必要に応じて増やしていくスケールアウトで行えるため、ブレードサーバが今後最初に入り込む分野と言っていい。

 一方、ミッドティアやバックエンドサーバにおいては、性能向上の方法に、数を増やすのではなく、1台のサーバの性能を引き上げるスケールアップの手法が必要になることが多い。例えば、既存のデータベースの処理能力を上げるためには、新しいサーバを追加しても仕方がなく、既存のサーバのCPUなどの性能を向上させなくてはならないわけだ。

 そのため、スケールアウトが基本であることも、IAサーバが基幹に食い込むための障害になっていたが、最近ではIAのマシンの性能向上の方法も多様化している。

 例えば、日本ユニシスは、元々がメインフレームのメーカーであった強みを生かし、メインフレームをコンセプトにしたIAサーバ、ES7000をリリースしている。同社およびマイクロソフトが、IAサーバとWindows Serverで、UNIXベースのシステムに対抗する上での切り札と言っていい。同社関係者に聞いても、ES7000の売れ行きは順調のようだ。

 ES7000は、きょう体内を8つまでの独立したパーティションに区切るパーティショニング機能が特徴。パーティションごとに別のOSをインストールすることも可能だ。また、アプリケーションごとに複数のサーバを用意して、システムを構成していたようなケースでは、それらをすべて1台のES7000に統合することもできる。

 また,パーティション間でのデータ転送も共有メモリ経由で可能であるため,TCP/IP経由よりもずっと高速にデータを転送できる。きょう体には最大で32個のプロセッサの搭載が可能。

es7000.jpg
IAサーバでは巨大なES7000

 このように、IAサーバは、徐々に基幹システムを目指す方向性にある。実際に、コンパックと合併したヒューレット・パッカードは,サーバ向けプロセッサをPA-RISCからItaniumファミリーに移行することを決めているのだ。

 一方で、現在はまだ基幹システムを代替するまでには技術的に至っていないものの、増え続けるインターネットユーザーを限られたサーバ設置スペースで迎えるべく、主にIDC(Internet Data Center)がフロントエンドサーバとしての導入で最も注目しているのが、ブレードサーバだ。

 IAサーバとブレードサーバの位置付けを確認したところで、後編では、ブレードサーバの技術的な特徴や、各ベンダーの動きなどを紹介する。

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[怒賀新也,ITmedia]