エンタープライズ:ニュース 2002/07/24 23:51:00 更新


IAと調和するブレードサーバ(前編)

インターネットは、コンシューマーのみならず、企業の基幹システムへと拡大を続けている。IAサーバの次の大きな波として、データセンターの設置スペースとコストを最小限に抑えることを可能にするブレードサーバに、現在大きな注目が集まっている。

 次世代にブレイクする製品として、ブレードサーバが最近の話題を集めている。メーカー各社が市場への製品投入を急いでいる状態だ。文字通り、形状がブレード(刀)に例えられたサーバは、CPUやメモリ、ハードディスクを搭載した1つのマザーボードだ。マザーボード単位でサーバを増設できるため、小さな設置スペースになるべく多くのサーバを実装しようとする高密度サーバ環境を構築するためには理想的だ。また、消費電力も低い設計となっている。

 このブレードサーバは、インテルアーキテクチャ(IA)サーバの考え方と非常にマッチした性質を持つ。なぜなら、IAサーバは性能アップを図る場合に、プロセッサの数を必要に応じて増やすというスケールアウト方式を取っているからだ。ブレードサーバを利用することで、従来と同じスペースにずっと多くのサーバを詰め込むことができるようになる。

 前編ではまず、ブレードサーバの本題に入る前に、同サーバの活躍が期待される分野であるIAサーバについて、全体的な位置付けを確認する。そして、後編ではブレードサーバの技術的な特徴や業界全体の取り組みなどについて、具体的に触れることにする。

2つに分類されるIAサーバ

 IAサーバの特徴は文字通り、インテルのプロセッサを搭載していること。具体的には2つに分類できる。まず、XeonやPentium IIIなどx86系プロセッサを搭載したサーバ。もう一方は、64ビットのItaniumファミリーを搭載したサーバだ。CPUをはじめ汎用的な部品を利用しているため、独自仕様のコンピュータよりもコストが低いことが何よりも強力な武器となっている。

 IAサーバは、エントリークラスやワークグループなどの市場では現状でも圧倒的なシェアを持つ。さらに、インテルや各サーバメーカーが目指すミッドレンジ分野および、企業の基幹システムをはじめとしたエンタープライズ市場でも、年々採用されるケースが増えている。特に、先日発表になったItanium 2は、ミッションクリティカルなシステムへのIAサーバ導入を強く意識した製品だ。

メインフレーム、UNIXの次を狙う

 ここで、基幹システムを支えたサーバマシンの歴史を振り返ってみよう。

 まず、70年代に普及したのがメインフレーム。メインフレームは価格が数億円を越える大型コンピュータだ。空調設備を完備した専用ルーム、専門家チーム、諸々を含めた膨大な維持費が必要で、メンテナンスは非常に大変だった。また独自のハードウェア、自社製OS、自社製アプリケーションといった特徴は、メインフレームがメーカーにとって、顧客の囲い込みの手段でもあったことを示している。

 その後、メインフレームを代替していったのが、RISCプロセッサとUNIXのOSを組み合わせたオープン系のサーバマシンだ。RISCプロセッサは、それまでのCISCよりCPUを制御する基本的な命令を減らし、演算処理の能力を向上させたもの。RISCは1975年、米IBMのワトソン研究所、ジョン・コック氏が提唱した。現在では、サン・マイクロシステムズのSPARCや、コンパックのAlphaなどの製品がある。

 RISCベースのUNIXシステムでは、1つのベンダーが独自に、ハードウェアからソフトウェアを開発するケースが多い。システムの開発ベンダーが1つであれば、メンテナンスやシステム変更なども一括して行いやすい。コストよりも信頼性が重視される基幹システムで、存在感を示してきた理由はここにある。その一方で、RISC・UNIXのシステムでは、独自仕様になるためにほかのベンダーが入り込みづらくなることがある。ユーザー企業は場合によってはベンダーの「言い値」で受注させられてしまい、思わぬコスト負担が発生する可能性もある。

 そして、RISC・UNIXシステムとは逆の特徴を持つのがIAサーバだ。つまり、独自仕様ではなく、汎用的なプロセッサやチップセットを用いて、その数を増やしていくことでシステムを拡張を行うスケールアウト方式を採用することで、コストを低く抑えることができる。IAの日々の技術向上もさることながら、不況によって多くの企業がコストに敏感にならざるを得ないという時代背景も、IAサーバには追い風となっているのだ。

増え続けるインターネットへの対応

 インターネットのサーバ環境では、Webサーバなどの「フロントエンド」、アプリケーションサーバなどの「ミッドティア」、データベースサーバをはじめとする「バックエンド」といういわゆる「3階層モデル」が一般的になっている。

 この3階層で言うと、フロントエンドのWebサーバは、ユーザーからのアクセスを受け付けて、ミッドティアやバックエンドに処理要求を行う製品だ。拡張は、サーバの数を必要に応じて増やしていくスケールアウトで行えるため、ブレードサーバが今後最初に入り込む分野と言っていい。

 一方、ミッドティアやバックエンドサーバにおいては、性能向上の方法に、数を増やすのではなく、1台のサーバの性能を引き上げるスケールアップの手法が必要になることが多い。例えば、既存のデータベースの処理能力を上げるためには、新しいサーバを追加しても仕方がなく、既存のサーバのCPUなどの性能を向上させなくてはならないわけだ。

 そのため、スケールアウトが基本であることも、IAサーバが基幹に食い込むための障害になっていたが、最近ではIAのマシンの性能向上の方法も多様化している。

 例えば、日本ユニシスは、元々がメインフレームのメーカーであった強みを生かし、メインフレームをコンセプトにしたIAサーバ、ES7000をリリースしている。同社およびマイクロソフトが、IAサーバとWindows Serverで、UNIXベースのシステムに対抗する上での切り札と言っていい。同社関係者に聞いても、ES7000の売れ行きは順調のようだ。

 ES7000は、きょう体内を8つまでの独立したパーティションに区切るパーティショニング機能が特徴。パーティションごとに別のOSをインストールすることも可能だ。また、アプリケーションごとに複数のサーバを用意して、システムを構成していたようなケースでは、それらをすべて1台のES7000に統合することもできる。

 また,パーティション間でのデータ転送も共有メモリ経由で可能であるため,TCP/IP経由よりもずっと高速にデータを転送できる。きょう体には最大で32個のプロセッサの搭載が可能。

 このように、IAサーバは、徐々に基幹システムを目指す方向性にある。実際に、コンパックと合併したヒューレット・パッカードは,サーバ向けプロセッサをPA-RISCからItaniumファミリーに移行することを決めているのだ。

 一方で、現在はまだ基幹システムを代替するまでには技術的に至っていないものの、増え続けるインターネットユーザーを限られたサーバ設置スペースで迎えるべく、主にIDC(Internet Data Center)がフロントエンドサーバとしての導入で最も注目しているのが、ブレードサーバだ。

 IAサーバとブレードサーバの位置付けを確認したところで、後編では、ブレードサーバの技術的な特徴や、各ベンダーの動きなどを紹介する。

[怒賀新也,ITmedia]