エンタープライズ:ニュース 2002/08/20 20:59:00 更新


ターボリナックスがSRAの傘下へ

SRAと米ターボリナックスは、SRAがターボリナックスグループ各社を傘下に置き、Linux事業に本格的に参入することを明らかにした。

 SRAと米ターボリナックスは8月20日、都内で記者発表会を行い、SRAがターボリナックスグループ各社を傘下に置き、Linux事業に本格的に参入することを明らかにした。SRAは同日付けで、米ターボリナックスの「Turbolinux」ロゴ、トレードマーク、会社名を含めた商標権と、Linux事業およびその運営に関わる知的所有権、米ターボリナックスが保有するターボリナックスジャパンの株式100%を取得した。これに伴い、社名はターボリナックスジャパンからターボリナックスに変更され、日本、中国、米国を含めた海外組織を統括する本社機能も統合する。

 CEOにはSRAの取締役を兼任する渡邊肇氏、COOにはターボリナックスジャパンの社長を務めていた矢野広一氏が就任した。

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CEOに就任した渡邊肇氏

「新生ターボリナックスはオープンソース製品の開発/販売を行う。戦略商品はUnitedLinux」と話す渡邊氏。同社は、中国や韓国、台湾、香港などのアジア圏におけるUnitedLinuxの製品開発、販売、サポートを行う。米国市場での事業展開は、パートナー企業と連携して行うとしている。

 UnitedLinuxはLinuxのエンタープライズ市場への普及に向けた取り組みで、ターボリナックスとカルデラ、ブラジルのコネクティーバ、ドイツのSuSEの4社による共同製品となる。しかし、Linuxのエンタープライズ市場はレッドハットが支配しているため、UnitedLinuxの動きの影響力については限定的という見方もあるのが現状だ。

 また、米ターボリナックスのリー・フオン・ファム氏は「SRAにLinux事業を譲渡することで事業が安定化する」とコメントした。同社は社名を変更し、今後はPowerCockpit事業に注力するという。

今までの悪いイメージを払拭する

 一方、COOに就任した矢野氏は、「親会社の経営基盤の脆弱さなどネガティブな噂を払拭できる。弊社の弱点は製品でも人でもなく過去の負の噂なのだ」と話す。今後は、PostgreSQLを核としたTurboDBを市場に投入し、本格的にデータベース事業に力を入れるとしている。TurboDBは、部門向けの用途などに利用されるローエンドのデータベース製品となっている。

 同氏は、日本で製品を開発して、世界の各法人に無償で提供していたという、これまでのターボリナックスジャパンのビジネスモデルの欠陥を指摘する。今後は、中国や韓国からのロイヤリティ収入、IBMとのパートナー連携による米国市場での売り上げ確保、UnitedLinuxからのアジア向けプロモーション予算などにより、海外からの収入を確保するという。さらに、SAPなどのERPのLinux版を日本で展開するという構想も明らかにした。

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[怒賀新也,ITmedia]