エンタープライズ:インタビュー | 2002/09/26 22:02:00 更新 |
Interview:「Javaと言えばJBuilder」を理解してほしいと話すボーランドの副社長
代表的なJava開発ツール製品「JBuilderシリーズ」を提供しているボーランド。同社のトニー・デララマ副社長に、.NetとJavaについてのコメントや、BEAシステムズやサイベース、NECとの協力関係による今後の事業展開の方向性について聞いた。
JavaOne Conference in Japanがパシフィコ横浜で開幕した。Java開発ツールの代表的な製品「JBuilderシリーズ」を提供しているのがボーランド。来日している同社のJavaビジネス部門担当の総責任者、トニー・デララマ副社長に話を聞いた。同氏はJ2EEベースのWebサービスプラットフォームとマイクロソフトの.Netについてコメントしたほか、BEAシステムズやサイベース、9月25日に発表されたNECとの協力関係による今後の事業展開の方向性について述べた。
トニー・デララマ副社長
ZDNet JBuilderを含め、ボーランドはどんな製品を展開していますか?
デララマ JBuilderはJavaアプリケーションの開発環境です。ソースコードをそのまま文書化できるため、ドキュメンテーション機能も備えています。また、開発したアプリケーションのパフォーマンスチューニングを行う環境として「Optimizeit」、導入には「Boraland Enterprise Server」、モデリングについては「Boraland Enterprise Studio」、各フェーズ間で適切なコミュニケーションを取るためのツールとして「TeamSource DSP」があります。モデリングから開発、パフォーマンス管理といったアプリケーションライフサイクル全体をカバーしています。
ZDNet 今回のJavaOneでボーランドが最も示したいメッセージは何ですか?
デララマ まずJBuilderがJ2EEのアプリケーション開発環境としてナンバーワンであり、確たるソリューションであること、オープンスタンダードの環境環境であることを来場者に改めて理解してほしいと思っています。
ZDNet 今回のJavaOneでも、WebサービスプラットフォーオムとしてのJ2EEに高い関心が集まっています。ボーランドはWindowsの開発環境としてDelphiを展開しており、ソフトウェア業界において、スイスのような中立性を持つという声もあります。その立場から、Javaと.Netの争いについてはどう見ていますか? Javaの方が優れている点、あるいは劣っている点があったら教えてください。
デララマ Java vs .Netという構図については、日本に限らず世界中のメディアが取り上げる話題になっています。ボーランドとしては、指摘のとおり、DelphiでWindowsもサポートしており、Webサービスについては両者の間で中立的な立場を取りたいと考えています。
ZDNet Webサービスについては、さまざまな標準が策定されていますが、今後業務システムとして実際に使われるためには、技術的にどんな点を改善するべきだと思いますか?
デララマ 具体的にはセキュリティとトランザクション管理については強化が必要と考えています。
ZDNet パフォーマンスについてもまだまだという意見も聞きます。
デララマ その通りです。JBuilderではパフォーマンスの最適化に力を入れています。J2SE/J2EEのパフォーマンスチューニングを行うOptimizeitは、メモリ障害などパフォーマンスに悪影響を与える問題が起こらないようにするソフトウェアです。将来的に、OptimizeitはJBuilderに組み込まれる予定です。
ZDNet モーバイル環境への対応も進んでいるようですが。
デララマ 昨日(9月25日)、「Borland JBuilder MobileSer Japanese MIDP Edition」の提供を9月27日から開始することを発表しました。これは、JBuilderの日本語版として初めてのアドオン製品で、ゼンテックとの協力によるものです。これは、日本の携帯電話を企業の情報システムに容易に統合することを可能にするものです。KDDIのEasy Plus、JPhoneのJ-Skyで動作するJavaアプリケーションを開発、テスト、配布することができます。
ZDNet 今回、SAPがJavaOneのスポンサーになったことからも、今後Javaが企業の基幹システムにどう入り込んでいくのかという点も注目されています。エンタープライズ向けのアプリケーションベンダーとの協力関係など、他社とのパートナーシップはどのようになっていますか?
デララマ 8月中旬にBEAシステムズと、JavaとWebサービス分野での提携を発表しました。BEAは以前、開発環境としてウェブゲインを選択していましたが、この提携により同社が開発環境としてボーランドを選ぶことになりました。製品として、「JBuilder Enterprise Weblogic Edition」を提供する予定です。BEAは他社製品をあまり販売しない企業であることからも、意義深いことと考えています。また、サイベースや、日本では、NECのJava/XML開発環境の標準開発ツールとしてJBuilderが採用されたことを発表しています。
ZDNet 最後に、JavaOneに参加した感想を聞かせてください。
デララマ 去年まではワイヤレスが最大のテーマでしたが、J2EEが重視されはじめ、いよいよJavaがメインストリームへと移行し始めたと思いました。今後も、オープンなテクノロジーとして、JBuilderを改良していきたいと思います。
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