エンタープライズ:ニュース 2002/09/30 20:26:00 更新


DB2 V8、イノベーションの歴史に新たな1ページ

DB2のイノベーションの歴史に新しい1ページが加わる。リレーショナルデータベースの本家ともいうべきDB2は、分散データベース機、マルチメディア、そしてフェデレーションという革新的な技術が盛り込まれてきたが、まもなく発表されるV8では、さらにXML/Webサービスによる情報統合機能が追加される。

 30年前、シリコンバレーのIBMラボで産声を上げたリレーショナルデータベースは、現在データベース管理ソフトのメインストリームとなっている。その本家とも言うべきDB2の新バージョン、V8がまもなく日米同時発表される。

 今年5月、サンフランシスコのモスコーニセンターで行われた「IBM developerWorks Live!」カンファレンスで、ジャネット・ペルナGM(DB2担当)は、その「30年に及ぶイノベーションの歴史」を誇らしげに話した。1980年代の「R Star」(分散データベース機能)、1995年の「Starburst」(マルチメディア対応)、1999年の「Garlic」(フェデレーション機能)、そして現在開発中の「Xperanto」(XML対応で情報統合)がその足跡だ。

 日本アイ・ビー・エムでデータマネジメンとソリューション事業部長を務める安田誠氏は、「データベースはどんな役割を担うべきなのか、DB2 V8のリリースにあたって、そうしたこだわりをアピールしたい」と話す。

 データベースの基本的な性能や堅牢さの向上はもちろんのことだが、まもなく発表されるDB2 V8の目玉のひとつがXperantoによる情報統合機能だ。これまでにもDB2はXMLをサポートしていたが、新バージョンでは、「SQL関数によるXML操作の容易化」「XMLスキーマ検証の自動化」「XSLTによるXML変換の自動化」など、XMLサポートでは最も先陣を切っている。

 フェデレーションの機能もWebサービスまで拡張され、DB2 V8では、現行バージョンのプロバイダー機能のみならず、コンシューマーとしても機能するようになる。つまり、SOAPによる問い合わせを受け付けたDB2が、単にInformixやOracleのような外部データベースだけでなく、さまざまなWebサービスによって得られるデータもDB2のデータと統合して返してやることも可能になる。そうなれば、アプリケーションの開発も簡素化されるに違いない。

 安田氏は、「エンジンそのものに差がなくなっている」とし、「データベースの新しい使われ方」をDB2 V8ではアピールしたいと話す。既にフェデレーション機能の拡張もそうだし、SMART(Self Managing And Resource Tuning)機能もそうだ。

 このSMARTは、IBMが掲げている自立型コンピューティング構想へとつながるものだが、システムを自動的にモニタし、制御してくれる機能だ。既にクエリの最適化などがサポートされているが、DB2 V8では、「構成アドバイザー」と呼ばれる機能が追加され、本来であれば熟練された技術者でも2週間はかかるデータベースのチューニングをわずか20分程度で済ませることができるようになる。

「データベースの使われ方はますます複雑になる。今後、グリッドコンピューティング化が進めば、さらにその度合いは深まる。そうなれば、自動化は必須だ」(安田氏)

 とはいえ、9月初めにIDC Japanが発表した国内オープン系OS用RDBMS市場では、オラクルが6割以上のシェアを占め、10%強のIBMを大きく引き離している。安田氏も「Oracle9iでできることはDB2 V8でもできるが、それだけでは乗り換える必然性はない」としながらも、XML/Webサービスを応用した新しいシステムを構築するときが再評価のチャンスだと話す。

「システムが異種混在環境になれば、それをどうサポートしていくのか検討しなければならない。良くも悪くもメインフレームの文化を育ててきたIBMには基幹業務を運用管理してきた実績がある」(安田氏)

 なお、日本IBMでは、アットマーク・アイティが10月11日に都内のホテルで開催する「Database Technology Meeting with DB2」に協賛し、安田氏のほか、IBMシリコンバレー研究所でXperantoプロジェクトを率いるネルソン・マットス氏も講演を行う予定だ。

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関連リンク
▼Database Technology Meeting with DB2サイト

[浅井英二,ITmedia]