エンタープライズ:ニュース 2002/11/20 18:53:00 更新


2003年はAMDがARMに取って代わるだろう−ポンパ副社長

横浜で開かれている「Embedded Technology 2002」にあわせて、AMDの組み込み製品向けアーキテクチャである「Alchemyソリューションズ」のプレスブリーフィングが開催された。

 Alchemyソリューションズを担当する「AMDパーソナル・コネクティビティ・ソリューションズ・グループ」(PCS)は、PC関連を扱う「コンピュテーション・プロダクツ・グループ」とメモリ関連の「メモリ・グループ」を補完する形で存在する。PDAおよび組み込み型製品のほか、ネットワーク関連デバイスなど、非PCだがインターネットに関わっているデバイスを扱っている部門で、ファブレス(製造工場を持たない)なのが特徴である。

 PCSがターゲットとしているマーケットは、カーナビから携帯ゲーム機、シンクライアントやWeb端末のほかにも、アクセスポイントやゲートウェイといったネットワーク機器にまで渡る。これらすべての分野でプロセッサを供給しつつ、全体的なソリューションを提供していくとのことだ。

 現在Alchemyソリューションズの核となっているのが「Au1000」、「Au1100」、「Au1500」といったMIPSテクノロジをベースとしたプロセッサだ。Au1500は33/66MHzの32ビットPCIコントローラが搭載されているのが特徴で、PCと同等のネットワークやグラフィック環境を整えることが可能であるとしている。またAu1100は、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の0.13μプロセスにより製造されているため、Windows Media Playerのような重いアプリケーションを利用しても、400MHz動作時に250mWという低消費電力で作動する。AMDはAuシリーズで、MIPSレベルのパフォーマンスと、ARMレベルの消費電力を目指すとしている。

 このほかにも、11月5日に発表された無線LANチップセットである「Am1772」について紹介された。他社の無線LANミニPCIカードやPCカードが複雑なチップ構成を取っているのに対して、Am1772チップセットは2チップ構成のため、5〜12ドルのコスト低減が可能とのこと。ドライバも現在ではWindows9x/Me/2000/XPのものが発表されているほか、LinuxやVxWorks、WindowsCE向けのドライバも2003年第1四半期にはリリースされる。また、すでに発表された「ミニPCIカード・リファレンス・デザインキット(RDK)」に加えて、PCカード向けのRDKも2003年の1月から提供する予定だ。

 なおAm1772は、2003年後半にはAu1100と統合され、IEEE802.11bベースの統合チップセットとなるほか、IEEE802.11aとIEEE802.11gに対応するAm1772後継のチップセットも同時期に発表される予定だ。

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Am1772チップセット(ミニPCIカード)

 プレスブリーフィングの席上でポンパ副社長は「Embedded Technology 2002ではARMのプロセッサを採用した製品が数多く紹介されているが、来年は違うだろう。PCの分野でインテルの寡占を崩して20%のシェアを獲得したのと同様に、2003年はARMに取って代わってAlchemyソリューションズがあふれているに違いない。AMDの製品ならソリューションの差別化が可能で、より優秀な製品をエンドユーザーに提供できるはずだ」と述べた。

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AMDパーソナル・コネクティビティ・ソリューションズ マーケティング担当副社長 フィル・ポンパ氏

関連リンク
▼日本AMD
▼Embedded Technology 2002

[今藤弘一,ITmedia]