| エンタープライズ:ニュース | 2002/11/28 23:23:00 更新 |

日本IBM、エンジニアリング&テクノロジー・サービスに関する説明会を開催
日本IBMは11月28日、10月に設立した「エンジニアリング&テクノロジー・サービス」の事業に関するプレス向け説明会を開催した。
日本IBMは11月28日、10月に開発製造部門内に設立した「エンジニアリング&テクノロジー・サービス」(E&TS)の事業に関するプレス向け説明会を開催した。E&TSは、IBM自身が持つ、知的財産や技術を使って、顧客企業における電子機器の設計・開発・コンサルティング・製造サポートを行うサービス。
日本では開発製造部門内の部署が担当するが、米IBMでは新たにエンジニアリング&テクノロジー・サービス部門を設立しており、全世界のIBMによる協業体制によってサービスを提供できる。
IBMがE&TSを通じて提供する技術/能力は、チップ/ハード/ソフト製品の研究開発、製造工程や歩留まり最適化、保守サービス、ファイナンシングなど、多岐に渡っている。製品開発・商品化の短期化、コスト最適化、新技術の既存製品への統合、設計手法などといった製造業が製品開発において抱える課題に関して、IBMは全世界で200〜300億ドル規模の市場になると見ているという。また、E&TSは、IBMがすでに提供している「ビジネス/コンサルティング・サービス」「マイクロエレクトロニクス」など、ほかのIBMサービスビジネスを補完する役割を果たすとしている。

日本IBMが説明会で展示したE&TS関連製品の例。これはジェイ・シー・エム向けに開発を請け負った、ファミリーレストランなどで使われるキオスク端末。VGA画像をSVGAになめらかに拡大表示する技術が採用の理由だという。中身はほぼThinkPad Tシリーズで、Embedded Windows XPを動作させている。
日本IBMの説明によると、E&TSが提供するサービスは主に「テクノロジー・ソリューション」と「コンサルティング・サービス&アウトソーシング」。テクノロジー・ソリューションとしては、ICチップの設計スキルノウハウやメインフレームの設計手法を活かしたSoCデザイン技術を提供する「チップ・テクノロジー・ソリューション」、ボードのカスタム設計やデバイスドライバー開発をサポートする「コンポーネント・テクノロジー・ソリューション」などがある。また、コンサルティング・サービス&アウトソーシングとしては、デザイン検証サービス「e-デザインサービス」、コスト節約や競争力改善を図り、資金調達までもサポートする「テクノロジー・アウトソーシング」などがある。

米トランスメタのTM5800を搭載する、PCカードサイズのx86アーキテクチャプラットフォーム「Miniaturized Processor Platform 501」。CPU、メモリ、サウスブリッジ、イーサネットなどの機能をPCカードサイズの基板に収めている。消費電力は最大でも6W程度、通常動作では1W以下で、冷却ファンは不要。すでに引き合いが来ているという。
E&TS事業の一環として、すでにミノルタ向けにデジタル複合機用コントローラの開発・製造、ソニー・コンピュータエンタテインメント向けにPlayStation2のネットワーク機器用インタフェースチップ開発、ジェイ・シー・エム向けのキオスク端末の開発、といったサービスの提供を開始しているという。今後IBMでは、製造業のほかにも流通や公共などの幅広い産業分野へ積極的にE&TS事業を展開していくとしている。

IBMが超小型PCのコンセプトとして以前発表した「MetaPad」(写真左右)をベースに、家庭と教室の間で持ち運べるというコンセプトで教育機関向けに開発中の「InfoCore School」の紙製モックアップ(中央)。主さあ約300g、体積約260cc以下のきょう体に、CPU、メモリ、HDD、イーサネット、グラフィックスなどPCの機能を収めている。
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[佐々木千之,ITmedia]
