エンタープライズ:ニュース 2002/12/02 21:49:00 更新


子どもの舌に味を刷り込むのはマクドナルドの重要なCRM戦略

「e-CRMフォーラム2002」が都内で開催され、ベリングポイントが講演した。「顧客囲い込み」戦略のポイントについて、同社の考えが述べられている。また、CRMの事例の1つとして、日本マクドナルドのマーケティング戦略も紹介されている。

 インターネット利用の拡大などにより、売る側よりも買う側の方が選択肢を持ち、力関係でも上になっているのが市場の一般的な傾向だ。商品の価格でも、最も安く売る業者の情報がWebサイトを通じて無料でほぼリアルタイムで提供されており、また、商品の性能や使いやすさなどの情報も、掲示板を見ればユーザー同士で簡単にコミュニケーションを取ることができる。

 そのため、企業にとっては、既存の顧客の維持も、新規顧客の獲得も非常に難しくなってきている。顧客との円滑な関係を継続していくために、CRMの重要性は今後さらに増しそうだ。そんな中、「e-CRMフォーラム2002」が12月2日、都内で開催された。この中で、ベリングポイント(旧KPMGコンサルティング)が講演し、「顧客囲い込み」戦略のポイントについて、同社の考えが述べられた。

 プレゼンテーションを行ったベリングポイントの安岡寛道マネジャーは、「CRMにおける第一歩は知ること」と話す。何よりもまず、顧客行動や自社の行動の現状を把握することが重要で、その後で、競合他社や顧客の状況に応じて、Plan、Do、Check、ActionといったCRM戦略を立てるべきだとしている。キーワードは、仮説構築と顧客のセグメンテーションだ。

 同氏は、CRM戦略の事例の1つとして日本マクドナルドの例を引き合いに出した。日本マクドナルドでは、顧客を年代別にセグメント化し、それぞれのライフスタイルを意識したマーケティング施策を展開しているという。

 有名な話ではあるが、3〜14歳までを対象とする2つのセグメントでの戦略のポイントは、「フードの味の記憶付け」となっている。成長してもマクドナルドに通わせるために、幼いうちから舌に味を刷り込んでおこうという作戦だ。すこし気味が悪い気もするが、マーケティング戦略としては高等テクニックなのだろう。ここでは、「共通品質の商品の提供」や「セット&グッズ販売」(10歳まで)などが具体的な施策となっている。

 また、19〜39歳を対象とする「ヤングアダルト」では、「低価格、手軽な食事の提供による顧客の取り込み」が中心となる。不況が長引き、低価格な食事へのニーズも高いというわけだ。日本マクドナルドは今後、地域特性別に全国を数百のブロックに分けてマーケティング施策を展開する予定があるという。

 安岡氏が述べたCRM戦略構築ステップを整理してみると、Planは、顧客/自社行動の把握と分析、競合の把握、顧客セグメンテーション、顧客ターゲッティング、CRMの各種施策立案となる。Doでは、CRM施策の実施、Checkが効果測定方法施策、最後に、Actionに当たるのが、CRM戦略/施策の修正となっている。このPDCAサイクルを繰り返すことが、CRM成功へのカギとなるとしている。

関連リンク
▼e-CRMフォーラム2002

[怒賀新也,ITmedia]