エンタープライズ:インタビュー 2002/12/16 20:51:00 更新


Interview:仮想化手法で競い合うVMベンダー3社 (1/3)

サーバ仮想化技術がメインフレームからインテルプラットフォームへと進出している。どのベンダーのソリューションがあなたの会社のニーズに最も適しているか判断する材料を提供すべく、Tech Update編集部はこれら3社のベンダーにインタビューを行った。

 サーバ仮想化技術がメインフレームからインテルプラットフォームへと進出しており、そこではデータセンターを統合する手法として人気が急上昇中だ。

 インテルサーバの仮想化分野では、3社の主要ベンダー(VMウェア、コネクティクスおよびSWソフト)が独自の手法を提供している。

 どのベンダーのソリューションがあなたの会社のニーズに最も適しているか判断する材料を提供すべく、Tech Update編集部はこれら3社のベンダーにインタビューを行った。

 VMウェアのダイアン・グリーンCEO、SWソフトのセルゲイ・ベローソフCEOおよびコネクティクスの製品管理ディレクター、マイケル・シェイラー氏に、各社のサーバ仮想化の手法、製品の位置付けおよび仮想サーバの将来展望について話を聞いた。

サーバ仮想化手法

 われわれは各ベンダーに対して、それぞれのサーバ仮想化手法がどのようにユニークなのか質問した。

 VMウェアのダイアン・グリーン氏は、次のように答えた。

「当社のバーチャルマシンソフトウェアは、インテルプラットフォームを仮想化し、複数のOSおよびアプリケーションを同時に実行することができる。これは、バーチャルマシン技術を用いてハードウェアレベルの仮想化を行うことによって実現した。VMwareの“パーティション”、すなわちバーチャルマシン(VM)は、インテルx86互換ハードウェアからVM内で動作するOSイメージに至る完全なセットである。この仮想ハードウェアは、マザーボード上のチップセット、CPU、メモリのほか、SCSI/IDEディスク装置、ポートおよび表示装置など、現実のサーバが装備するあらゆるデバイスの仮想インプリメンテーションを提供する。そして各バーチャルマシンはファイル内にカプセル化されているため、システム間で負荷をシームレスに移動することが可能だ」(グリーン氏)

「われわれは2つの独特の手法により、物理的ハードウェアに極めて近いものを実現している。まず、当社の製品すべてを通じて、VMは、仮想化レイヤから介入を受けることなく、直接システムプロセッサ上でほとんどのCPU命令を実行する。第2に、ESX Serverの場合は、直接ハードウェア上で仮想化レイヤを実際に動作させるため、ホストOSを全く必要としない。このとき、ハードウェアを“乗っ取り”、ネットワーク帯域やディスクI/Oアクセスの個別レベルなど、各バーチャルマシンが消費する物理的リソースを正確にコントロールすることができる。ホストOS上で動作するバーチャルマシン技術では、これほど高度なコントロールは不可能だ」(同氏)

 さらにグリーン氏によると、VMware技術はパーティションの分離機能を提供するという。「パフォーマンスの分離を実現するには、あらゆるパーティションがディスクI/Oやネットワーク帯域などのシステムリソースの一定量にアクセスできることを保証しなければならない。セキュリティの隔離では、あるパーティション内にいる悪意を持ったユーザーが、ほかのパーティションに侵入できないようにする必要がある」(同氏)

 マイケル・シェイラー氏は、コネクティクスの「Virtual Server」について、仮想化およびバイナリトランスレーションという2つのコア技術を提供するものだと説明している。仮想化は、従来ハードウェア内に存在したものをソフトウェア内に実装することを意味し、バイナリトランスレーションは、ある命令セットをほかの命令セットに変換(例えばx86からPowerPCに、あるいはx86から仮想x86命令セットに変換)することを意味するという。

「われわれは広範なゲストOSをサポートしており、OS/2およびNetWareも動作させることができ、これらのプラットフォーム上のドライバにも完璧に対応する」とシェイラー氏は話す。Virtual Serverは、Linux、Windows NT/2000および.NETサーバも実行することができるという。

 Virtual Serverは、既存のホストOS上でゲストOSを実行するという点でVMウェアのGSX Serverと同じであり、移植性についても同様のアプローチを採用している。シェイラー氏は次のように説明する。

「われわれの“仮想ハードドライブ”(VHD)は、即時オン配備と即時解除を可能にする移植性が特徴だ。移植性とは、ネットワーク上の任意の場所で要求される完全な自己完結型サーバ環境にアクセスする機能、ならびに同環境を移動する機能を意味する。仮想ハードドライブはOSのイメージファイルと似ているが、ファイルシステム上に置かれた読み出し専用VHDから起動することができ、すべてのディスク書き込みを“識別”ドライブに保存することができるという点が異なる。識別ドライブは、起動ドライブに統合したり、廃棄(即時解除)したりすることができる」

 さらにシェイラー氏は、「“即時オン”配備とは、ファイルシステム上に存在するVHDに対してリモートからアクセスおよび起動ができることを意味し、これによりキャパシティ・オン・デマンド方式でサーバリソースを追加配備することが可能だ」と付け加える。

 セルゲイ・ベローソフ氏によると、SWソフトの「Virtuozzo」はやや異なるアプローチを採用しているという。「Virtuozzoはインテルベースのサーバ上でOSレイヤを仮想化し、完全に分離された仮想パーティションを作成することにより、機能、障害、名前空間およびリソースをパーティション間で分離する」と同氏は説明する。

「この手法では、サーバ上の仮想環境/パーティションの数にかかわらず、1サーバ当たりのトータルオーバーヘッドは1パーセント以下である。われわれの技術は、(ルートOSのすぐ上に位置する)ベースカーネルを修正し、完全に分離された仮想環境(VE)を作成するというもの。これらのVEは、そのOSのインスタンスである。各VEは16 CPUにまたがって64Gバイトメモリまで拡張することができ、各パーティションはサーバリソースを公平かつ動的に共有することができる。サーバのベースにある単一のカーネルは、各仮想パーティション内に格納されたすべてのアプリケーションやサイトなどを認識し、それぞれの変化を監視・追跡する。さらに、管理コンソールからドラッグ&ドロップ方式でVEを物理サーバ間で移動することができる」(ベローソフ氏)

 管理機能についてベローソフ氏は、「各VEは完全に分離されており、管理コンソールから管理することができる。管理コンソールでは、VE、アプリケーション、帯域幅、メモリ、I/Oなどのリソースレベルを監視することが可能だ」と説明する。

      | 1 2 3 | 次のページ

[Todd Volz,ITmedia]