エンタープライズ:ニュース 2002/12/24 21:03:00 更新


「F5製品を抜きにしてブレードサーバ市場は立ち上がらない」とグッドウィン社長

キャッシュや負荷分散、SSLアクセラレーションといった機能を提供する「BIG-IP」シリーズで知られるF5ネットワークス ジャパンは、2003年の製品・販売に関する戦略を明らかにした

 キャッシュや負荷分散、SSLアクセラレーションといった機能を提供する「BIG-IP」シリーズで知られるF5ネットワークス ジャパンは、2003年に向け、プラットフォームおよび機能の強化を図る方針を明らかにした。

 同社は今年、ブレードサーバをターゲットとした新製品「BIG-IP Blade Controller」をリリースしたほか、ローエンド市場をターゲットとした「BIG-IP 1000」などをラインナップに追加している。そうした実績を踏まえ、「プロセッサの増強などを図った新プラットフォームを投入し、5〜6倍のパフォーマンス向上を実現するほか、IPv6やSIPといった新技術のサポート、SOAP/XML対応によるWebサービスへの完全対応などを進めていく」(同社代表取締役のティム・グッドウィン氏)。

f52003.jpg
2003年も引き続き新たな技術に取り組んでいくというグッドウィン氏

 一連の取り組みにおいては、「日本の顧客の声を反映していく」ことが大事だとグッドウィン氏は述べる。事実、これまで実現されてきた機能改善のうち、6割以上が日本のユーザーから寄せられた要望を基にしたものだったという。

 2003年もその方針に基づき、複数の新技術に対応していく計画だ。まずIPv6をフルサポートするほか、IP電話の音質を維持し、トラフィック管理を実現すべく、SIPの負荷分散とセッションコントロール機能を追加していく。また同社では、iモードやJ-Sky、EZWebといった携帯電話端末と、IBM WebSphere、BEA WebLogicといったアプリケーションサーバとの間で、セッション維持・管理を行う機能を開発済みだが、これを顧客が容易に使えるプリセットルールの形で提供していく計画だ。

Webサービスとセキュリティに注目

 また、「今後、間違いなくセキュリティへの投資は拡大していく」(グッドウィン氏)という予測に基づき、各種セキュリティ機能も強化する。具体的にはSSLアクセラレーション機能を、同時1万セッションをサポートするレベルにまで高める計画があるほか、SSLクライアント認証機能のサポートやDoS(サービス拒否)攻撃防止機能の搭載などが実現される予定だ。さらに、受け取ったSSLセッションに対し、BIG-IPが暗号化を解いた上で処理を行い、もう一度暗号化してWebサーバに渡すというエンドツーエンドのSSL機能のサポートが図られる。

 またファイアウォールやVPNだけでなく、IDS(不正侵入検知)製品に対する負荷分散機能の提供とポリシー適用をサポートしていく。

 F5ネットワークスでは同時に、今後着目すべき市場としてWebサービスとブレードサーバを挙げている。

「Webサービスにおける問題は、セキュリティと可用性だ」(同氏)。そこでF5ネットワークスでは、業界団体であるWS-Iに加盟し、Webサービスにおけるセキュリティ標準仕様の策定に関わっているという。合わせて製品レベルでも、BIP-IP/iControlのほか、広域負荷分散を実現する「3DNS」でSOAP/XML対応を進める。

 また、同社が特に戦略的製品と位置付けているBIG-IP Blade Controllerでは、既存のサーバからブレードサーバ環境への移行・導入を支援する機能を提供しながら、国内ベンダーのものも含め、対応ブレードサーバをさらに増やしていく方針だ。

 グッドウィン氏は、省スペース・省電源、管理コストの削減といったブレードサーバのメリットを享受するには、動的な負荷分散が不可欠であり、それを実現するのがBIG-IP Blade Controlleだという。「われわれの製品がなければ、ブレードサーバ市場は立ち上がらない」(同氏)。

 F5ネットワークス ジャパンでは、一連の取り組みを通じて、2003年度の販売台数を1500台までに拡大する計画だ(2002年度の販売見込は1200台)。「市場がやや縮小傾向にある中で、F5ネットワークスはシェアを伸ばすことができた」とグッドウィン氏は語り、さらにROI(投資効率)が重視されるようになった現在、複数の製品を組み合わせるのではなく、1つの製品で複数の機能を提供できる同社製品が評価されているとした。

 さらに、今後は、「SSLのアクセラレーション機能が欲しい」「レイヤ4での負荷分散機能が欲しい」あるいは「アプリケーションに踏み込んだレイヤ7での負荷分散機能が欲しい」といった顧客のニーズに応じて、いっそう柔軟に機能を選択できるような枠組みを提供する方針という。

関連記事
▼3年後を見据えてブレードサーバ向け「BIG-IP」を実現したF5ネットワークス
▼F5ネットワークス,.NetプラットフォームとXML Webサービスをサポート

関連リンク
▼F5ネットワークス ジャパン

[高橋睦美,ITmedia]