エンタープライズ:コラム 2002/12/25 23:10:00 更新


Linux Column:「ゆく年くる年」2002年&2003年編

早くもクリスマス。今年もLinux「ゆく年くる年」を書く時期が来てしまった。まず、前回の答え合わせから。その後で、2003年を大予想する。

早くもクリスマス。今年もLinux「ゆく年くる年」を書く時期が来てしまった。前回は2つに分けたが、今回はまとめていってみよう。

 まず、前回の答え合わせから。1年前、私は以下の予想をしている。

  • NASが大ブレイク

 残念ながらブレイクしなかった。ただし、NASやSANといったソリューションカテゴリは一般的に認知されたといってもいいだろうか。順次成長していくことが期待される。

  • クライアントOSとして出荷シェア5%に…

 果たしてシェア5%になったかどうかはともかく、秋頃からLinuxでデスクトップ環境を整えるという話題が増えた。また、予想通りサン・マイクロシステムズが「エッジ」とクライアントの分野でIA-32を利用したLinuxボックスをリリース。価格も当たらずとも遠からず。来年にかけて、この領域の話題は尽きないだろう。

  • Linux搭載PDAが続々?

 ZaurusがLinux搭載した。これはさすがに予想はし切れなかったが、流れ的には当たっていたと思う。携帯電話にLinux搭載などという話も具体的に出てきているし、組込市場でのLinuxの認知度は高まったのではないか。

  • Linux NG(Next Generation)

 特になし?来年に期待。

2002年は安定した年?

 1年を振り返ってみると、Linux市場は大きな波乱もなく順調に推移したといえる。その分、新しいオドロキなどがなかったので、やや退屈な向きもあったかもしれない。

 Linuxが、ソフトウェア会社が販売するソフトウェアだったとしたら、この状態と言うのは非常に危険な状態だったと言える。なぜならユーザーは細かいバグフィックスなどにはお金を支払ってくれないからだ。少なくとも1年に1回は大き目のバージョンアップを行ってバージョンアップ料金を取らないとやっていけないソフトウェアビジネスの習慣は、ごく一部の新しいもの好きの人間を除けば、ユーザーにとってメリットはなく、かつベンダー自身の首を真綿のようにじわじわと締めつけているような気がしてならないのだが。

2003年大予想

 さて、それでは来るべき2003年のLinuxギョーカイについて、いくつかの予想を立てて今年の本コラムは終了にしよう。当たるも当たらないも。

  • クライアントビジネス盛り上がる

 小売りではなく、システムインテグレーションとしてクライアントにLinuxを採用するケースが増えてくるだろう。特にWindows 95などをいまだに利用しているサイトでのリプレース需要に、Linuxがマッチするケースが増えてくる。キーワードは「Webが動けば十分」。

  • 自宅サーバ大流行

 これまでもあった自宅サーバが、一般にも広まり大流行に。特に一般のオンラインストレージサービスに飽き足らないユーザーが、より多くのストレージ領域を求めて自宅サーバーで自分用のオンラインストレージを作るのが流行るだろう。キーワードは「GB(ギガバイト)単位は当り前でしょ」。

  • ネット家電製品にLinux採用

 ブロードバンドを前提にネット家電製品が次々に組込Linuxを採用。ハックしたい一部のユーザーがソースコード開示要求をする一場面も見られるかも? キーワードは「ソースコード見せてよ」

  • カーネル2.6への移行は進まない?

 来年にはリリースが予想されるカーネル2.6だが、カーネル2.4で満足しているユーザーの多くはカーネル2.6への移行を先送りにする可能性がある。移行が進まないため、枯れるのに時間がかかり、枯れないのでユーザーが移行しないというジレンマに陥らないかが心配される。キーワードは「もうそろそろ?」。

 2003年は、カーネル2.6というホットトピックがありそうだが、マーケット全体で見るとサーバ市場からクライアント市場へのターゲットの移行という、今年に引き続いて安定的な流れになりそうな気配。あとはZopeのようなコンテンツ管理系のアプリケーションとの組み合わせでのソリューションが一定の成果をもたらす事が期待されるが、この辺りはまだ未知数だろうか。

 いずれにせよ、みなさんも自分なりのLinux利用方法を見つけて、大いなる飛躍を遂げる一年であってほしいもの。

それでは、よい年を。

[宮原 徹,びぎねっと]