| エンタープライズ:広告 | 2003/01/21 04:09:00 更新 |

「人材投資が業績向上のカギを握る」と話すアクセンチュアに聞くDocentのe-ラーニング
長引く不景気から企業が抜け出すためのカギは従業員が握る。そんな中、ADSLやFTTHをはじめとしたブロードバンドの進展も手伝い、e-ラーニングへの注目度が次第に高まっている。従業員の持つ知的財産が直接「商品」となっているのがコンサルティング業界だ。ドーセントのe-ラーニングプラットフォームを社内システムとして全世界的に導入し、またパートナーとして顧客にソリューション導入も行っているアクセンチュアで、ヒューマン・パフォーマンス・グループ シニア・マネジャーを務める山崎将志氏に、Docentベースで構築したラーニング・マネジメント環境「myLearning」について聞いた。
ZDNet Docentを導入する前の課題と、e-ラーニングを社内で展開する上での狙いは?
山崎 ここ数年、コンサルティング対象とする顧客の業種や、その業務領域が広がり、これまで以上に顧客のビジネスに関する知識を深く身に付ける必要性が高まっています。また、プログラミング言語や、ERPに代表されるパッケージ製品の数も増えており、スキル領域も細分化しています。さらに、構築依頼を受ける情報システムがより戦略的になってきて、顧客の要求を契約期間通りに、契約した予算で実現するだけでなく、顧客の将来のビジネス価値を拡大させるという視点が重要になってきていました。
そのため、アクセンチュアでは以前から、米シカゴで集合研修を行っていたものの、その投資対効果をより向上させることが必要になりました。そこで、個々のコンサルタントが顧客の期待を上回るサービスを提供するために、状況に応じた知識やスキルサポートをワンツーワンで提供することが、e-ラーニング導入に踏み切った理由です。
ZDNet Docentに決めた理由は?
山崎 Docentのプラットフォームを採用するに当たり、多言語対応により、グローバル企業の利用に適していることや、大規模ユーザー環境でも快適に利用できること、集合教育との組合せができるBlended Learning(e-ラーニングと集合研修のミックス)機能などが決め手になりました。また、アクセンチュアとしてもDocentを顧客に提供する立場であるため、カスタマイズがしやすいオープンなパッケージであることにも注目しました。アクセンチュアは「Asset -Powered、Value- Led」(既存資産の活用と価値に立脚点を置いたサービスの提供)という標語を掲げています。パッケージシステム1つを取ってみても、自分たちで使いこなしてこそ、顧客に価値のあるソリューションを提供できることを示しています。
ZDNet 社内でどの程度myLearningが活用されていますか?
山崎 myLearningのコンテンツは、自社で開発したものと外部から購入したものを合わせて、7000コースに上ります。ログインすると、それぞれの従業員の組織や役職によってパーソナライズされた画面が表示されます。Javaをはじめとしたプログラミング言語や、ERPパッケージなどのITに関するトレーニングから、生産・調達・在庫などの管理といった業務的な内容、金融業、通信業、ヘルスケアなど、業種別のラーニング・コンテンツも用意されています。
また、myLearningは、一定の時間と場所でスキルを身につけるような、いわゆる「研修」だけを対象にはしていません。ナレッジ・マネジメントシステムとのリンクにより、日々の業務に直結した知識も提供します。コンサルタントは、中長期的なキャリア目標を達成したり、目の前にある課題を解決したりするために、こうした豊富なコンテンツをフル活用しています。
ZDNet myLearningは導入したのはいつでしょうか?
山崎 2000年の6月にパイロット導入し、2001年6月にバージョン2.0としてカットオーバーして現在にいたっています。ここ3年のROIは25倍と試算しています。myLearningはドーセントのLMS(Learning Management System)をベースにしていますが、かなりカスタマイズしているため、パッと見ではDocentの製品であることも分からないくらいです。
ZDNet 顧客に導入する場合はどうでしょうか?
山崎 業種や個々の企業のカルチャーによって、人材投資に対する考えはさまざまです。教育を企業経営のかなめととらえ、景気の波に左右されずに十分な投資を行っている企業もある一方で、人材教育を研修部門に任せきりにして、通信教育や階層別研修などを中心に行い、最小限のコストしかかけていない企業もあります。

「コンサルタントはスキル構築にmyLearningを積極的に活用している」と話す山崎氏
いずれにせよ、始めに導入の目的を明確にすることが重要です。最近では例えば、コンプライアンス(企業倫理)への注目が高まっています。不祥事は企業の屋台骨を揺るがすほどのインパクトがあります。営業教育や新商品研修だけでなく、組織の全員が守るべきルールを周知徹底させることも、LMSの使い方としては有効です。一般的に言われているe-ラーニングの利点に加え、LMSを利用すれば、社員教育の実施履歴が残り、そのデータをいつでもチェックすることができるのです。
特に、製薬や電力、食品業界、政府系などで、薬事法や個人情報保護法などの法令遵守が課題になっています。アクセンチュアも、2001年にNYSE(ニューヨーク株式市場)に上場した関係から、最近インサイダー取引に関するトレーニングを社員全員が受講しました。
また、導入におけるチェンジ・マネジメントも重要です。e-ラーニングの導入は、社員の自律性を促進しなければうまく効果が出ません。日本においても人材の流動化が進みつつあります。その中で、社員がエンプロイアビリティ(労働市場価値を含んだ就業能力)を高める上でのサポートを企業は行わなくてはなりません。e-ラーニング導入による大きな変化の1つは、教育のやり方がセルフサービス型へと変更されることです。そのため、混乱を避け、確実に効果を出すためには、チェンジ・マネジメントが重要になります。経営者から中間管理職までのマネジメント層は、教育方法が変わるというメッセージをしつこいくらい社員に送るといった緊密なコミュニケーションを取ることが求められます。また、社員の通常の業務プロセスにe-ラーニングを組み込まない限りは、必要性を説いてもなかなか納得してもらうことができません。
ZDNet 導入するコンサルタントとしてe-ラーニングをどう顧客に勧めますか?
山崎 最近e-ラーニングを導入した自動車会社の人事の方から、面白い話を聞きました。20世紀のITは在庫が減ったり、人が減ったりして、効果が目に見える形で実現されるのだけれど、21世紀になって、それが本当に分からなくなった。例えば電子メール。コミュニケーションのあり方が根本的に変わったが、直接的な効果が数字で現れない。でも、経営のスピードは速まっているし、効率も良くなっている。
e-ラーニングも導入効果を数字で示すのが難しい。CRMもそうですね。われわれも、「ナレッジ系システム」とも言える21世紀型ITの投資対効果の研究を進めていますが、普遍的な方程式を見つけるには至っていません。しかし、経営者にとって「人」の問題が一番重要であることは確かです。われわれは、e-ラーニングが顧客のビジネスにどんなメリットを生み出すのかを示す「期待効果」を、具体例と数値を用いて忍耐強く示していきます。導入のやり方のところはもうでき上がっていますからね。
ZDNet e-ラーニングは今後、人事や会計システムだけでなく、CRMやSCMとも連携していくと言われていますが、今後どのように発展していきますか?
山崎 現在のe-ラーニングは、「お試し」程度の導入、通信教育の置き換えといった利用の仕方が多く、まだまだ経営課題としては位置付けられていません。今後は、ドーセントがビジネス・パフォーマンスの重要性を説いているように、企業の業績向上により貢献するようになっていくと思います。そして、ラーニングとナレッジ・マネジメントの境界線はますます曖昧になるでしょう。また、コンピテンシーモデルとラーニングの関連付けによる組織全体のスキルアップや、業績向上、真のCRMを実現するためのB2E2Cシステムとのシームレスな連携など、具体例を挙げれば切りがありません。
山崎 将志(やまざき まさし)アクセンチュア ヒューマン・パフォーマンス・グループ シニア・マネジャー e-ラーニング/ナレッジ・マネジメントをはじめ、BPR、チェンジ・マネジメントなど、人・組織にかかわるコンサルティング業務に従事。 主な著書に、「e-ラーニング」(2001年、ダイヤモンド社) |
[ITmedia]
山崎 将志(やまざき まさし)