エンタープライズ:ニュース 2003/01/28 19:44:00 更新


日本IBM、iSeriesのサーバラインアップも「オンデマンド」対応へと刷新

日本IBMは、アプリケーションサーバ「eServer iSeries」の新製品として、同社製64ビットプロセッサであるPower 4を搭載した計5モデルを2月21日から出荷すると発表した。IBMが提唱する「e-ビジネスオンデマンド」をハードウェアの側面から推進する動きとなっている。

 日本IBMは1月28日、都内で記者発表会を行い、同社のアプリケーションサーバ「eServer iSeries」の新製品として、同社製64ビットプロセッサであるPower 4を搭載した計5モデルを2月21日から出荷すると発表した。新シリーズの特徴は、ボーナス商戦におけるWebアクセスの一時的な急増への対処など、ユーザーの必要に応じて、追加したプロセッサの機能をオン/オフ設定を管理コンソールから行うことができる「テンポラリー キャパシティ アップグレード オンデマンド」(テンポラリー CUoD)機能が上位3機種に搭載されること。

 また、WebSphereファミリーのエントリ製品をiSeriesに対応させた「WAS-Express for iSeries」を、iSeriesの新モデルとともに出荷することも併せて明らかにしている。

 いずれも、IBMが提唱する「e-ビジネスオンデマンド」をハードウェアの側面から推進する動きとなっている。

 新モデルは、ハイエンド機種では、iSeries 825/870の2つ。また、最上位のi890でも、CUoDを搭載した拡張版が発表された。最大32Way、最大で32区画までの論理分割(LPAR:ロジカル・パーティショニング)上で、OS/400とLinuxを稼働させることができる。また、xSeriesサーバ機能を利用することで、Windowsアプリケーションも動作させることができる。

 ミッドレンジではiSeries 810、エントリではiSeries 800が追加されており、OS/400、Linux、Windowsのアプリケーションが動作対象となっている。

 同社は従来から、CUoD機能をメインフレームやUNIXサーバで提供したが、今回はこれをiSeriesで展開する。従来のCUoDは、計画済みの成長に対応するものであり、料金も事前に支払う形態だったが、今回のテンポラリーCUoDは、事前の利用契約に基づいてリソースの一時的な利用に対応する。正式発注が行われてから課金が発生する点で異なっている。

 テンポラリーCUoDにより、国産のメインフレームやAS/400で構築された顧客のシステムを、iSeriesベースに統合する動きを強化することが狙いだ。例えば、日立製作所のメインフレームからiSeriesへと移行した場合のコスト削減効果が30%に上ることも「経験済み」としてアピールした。また、情報システム部門の新しいスキル構築や、オンライン業務のWeb化、ワークフローシステムを同一プラットフォームで実現できることなどをメリットとして挙げた。

 テンポラリー CUoDでは、高い処理能力が不要になった時点で、追加したプロセッサの機能を停止させることもできる。追加したプロセッサは日割り換算で料金を精算できるため、顧客のIT投資も効率化するという。

 新製品群は、スタンダードエディションとエンタープライズエディションの2種類のパッケージ形態で提供される予定。エンタープライズエディションでは、WebSphere Application Server -Express V5.0 for iSeriesのほか、共同作業ソフトウェア「Lotus Sametime」「Lotus QuickPlace」、システム管理ソフトウェア「Tivoli Monitoring for Web iSeries版」、DB2などを標準で提供する。

 価格は、最上位のiSeries 890 エンタープライズエディションが6億6672万2900円となっている。iSeries 800のバリューエディションは、266万7100円。

 なお、eServer iSeriesは、基幹業務やe-ビジネスなどによるアプリケーションの増加によって複雑化する顧客システムを、1台のサーバに統合することで、TCO低減を促進するサーバシリーズとなっている。対応OSは、OS/400、Linux、Windows、AIXなど4機種。eServerにはほかに、メインフレームのzSeries、UNIX向けサーバのpSeries、IA(インテルアーキテクチャ)サーバのxSeriesというラインアップがある。

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▼日本IBM

[怒賀新也,ITmedia]