エンタープライズ:ニュース 2003/02/13 17:31:00 更新


基調講演:「2003年はターニングポイントとも言える重要な年」と阿多社長

2月13日と14日の両日にわたり、都内のホテルで「Microsoft Enterprise Deployment Conference 2003」(EDC2003)が開催される。セッションに先立って行われた基調講演では、マイクロソフトの阿多社長のほか、米マイクロソフトのWindows Server Product Group副社長であるデイビッド・トンプソン氏による講演も行われた。

 基調講演のまず最初に阿多社長が登壇し、「IT投資の金額は、米国が70兆円なのに比べて日本は12兆円でしかない。不況の影響もあるが、この結果日本は国際競争力を失いつつある。依然として日本のIT投資はメインフレームが中心となっているが、アメリカでPCサーバ分野への投資が加速した状況と似通っており、今後はさらに増えて行くに違いない」と述べ、アプリケーション・プラットフォーム、ITインフラストラクチャ、インフォメーションワーカー・インフラストラクチャの3分野での新しい要素への取り組みが急務である、とした。

 また、マイクロソフトが665社に調査をした結果、セキュリティの強化に一番関心があるという結果が出たことを紹介しながら、「『Trustworthy Computing』(信頼できるコンピューティング)がこれまで以上に重要になってくる。みんなが頼れるコンピューティング環境をマイクロソフトは提供していく」と述べた。

阿多社長

2003年も引き続きセキュリティについての重要性を強調した阿多社長


 続いて登壇したデイビッド・トンプソン氏も、マイクロソフトの最重要課題はTrustworthy Computingであることを紹介しながら、「Windows Server2003では『Secure by Design』、『Secure by Default』、『Secure by Deployment』、『Communication』の4つの要素で信頼できるコンピューティングを推進していく」と述べ、Windows Server 2003では設計段階からセキュリティを重視したアーキテクチャになっており、攻撃対象となる部分が削減されていることを強調。有線環境でのIPSecやL2TP、無線環境でのIEEE802.1xなどをサポートすることで、セキュアなコミュニケーション環境が構築できるとともに、セキュリティ管理のためのパッチ管理ソリューションも提供していくことが紹介された。

トンプソン氏

「Trustworhty Computingのコンセプトはシンプルだ」とトンプソン氏


 トンプソン氏の講演が終わったあと阿多社長が再び登壇し、Windows Server 2003のActive Directoryについてデモを交えて紹介した。これまでのActive Directoryでは、既存のNTドメインからの移行が困難であったり、各部署で複数存在するディレクトリが統合しづらかった問題点について言及し、「Active Directory Migration Tool Ver.2」(ADMT v2)のデモを交えながら、Windows Server 2003では既存NTドメインの移行のほか、複数にわたるフォレストの信頼関係も簡単に構築できることが紹介された。

 このほかにも、企業内に存在する異種・複数のディレクトリサービスを統合するツールとして「Metadirectory Services 2003」を紹介。2003年の夏には提供される予定とのことだが、SQL Serverで構築された人事システムの情報から、Active Directory、Lotus Notes、SunONE Directory Serverの情報を更新するといったデモも行われた。

 また、今後さらに増えていくであろう無線LAN環境については、認証基盤としてのActive Directoryを利用することで、電子証明書の自動配布や中央集中管理ができるとし、Windows Server 2003ならばセキュアなワイヤレスコミュニケーションが構築できると述べた。

 さらに、今後発売される予定の「Exchange Server 2003」と「Outlook11」で回線状況を自動的に検知しながら、状態に応じてメールデータが送受信できるデモや、2003年秋に発売予定の「Systems Management Server 2003」、Windows Server 2003とExchange Server 2003を利用したボリューム シャドウコピー サービス(VSS)の高速なスナップショット機能などがデモで紹介された。

 講演の最後に阿多社長は「2003年はマイクロソフトにとっても非常に重要な年だ。あとから振り返るとこの年がターニングポイントだったと気づく人も多いだろう」とし、今後発売される製品群で「Windows Server 2003 Wave」を起こしていくと述べた。

関連リンク
▼Microsoft Enterprise Deployment Conference 2003
▼マイクロソフト

[今藤弘一,ITmedia]