エンタープライズ:ニュース 2003/02/13 23:23:00 更新


XML WebサービスとOffice XPで脱「文房具」を目指す

「EDC2003」初日の最終セッションでは、「Office XP」で利用できるXML Webサービスについて解説が行われた。講演を行った吉村徹也氏は、XMLを基盤に価値創造の支援ツールとして、また意思決定支援ツールとして、Officeを活用してほしいと強調した。

「EDC2003」初日の最終セッションでは、「Office XP」で利用できるXML Webサービスについて解説が行われた。

 講演を行った吉村徹也氏(マイクロソフト ビジネスプロダクティビティソリューション本部システムエンジニア)は、「Office製品はマイクロソフトが提供するソフトウェアの中でも一番身近で使い慣れた製品。書類作成だけでなく、コラボレーションや情報収集などの手段として、新しい価値を創造するために利用してほしい」と語った。

 Office XPでコラボレーションを行う機能として紹介されたのがXMLのサポート。「Excel 2002」では、ワークブックのフォーマットやプロパティ、セルの機能などを持つXML-SS形式のエクスポートに対応している。また、インポートでもXML-SS形式をサポート。基本的には「スタイルシートを適用して、Excelで読める形式ならば問題ない。ただ、XML FlattenerアルゴリズムがXMLの階層構造をフラットに変換してしまうため、構造が崩れてしまうことがある」という。そのほか、Web上のXMLデータに対してWebクエリを作成することができたり、VBAなどでXMLデータを直接扱うことも可能だ。

吉村徹也氏

今までOfficeは“文房具”として利用されてきた、と話す吉村氏


 Excelよりも多様な機能を持つと語るが「Access 2002」。Accessでは、XML(データ)、XSD(スキーマ情報)、XSL/HTML(プレゼンテーション情報)をダイアログで選択してエクスポートできるほか、マイクロソフトの独自形式であるReportMLにも対応している。ReportMLは、フォームやレポートのプロパティ、イベントおよび属性を定義したタグのセットから構成されているという。インポートでは、XMLやXSDの入力が可能。スキーマ情報をインポートしたテーブルの情報に追加することもできるという。

 また、これらOffice XP製品のVBAに、XML Webサービスを利用できるコードを自動的に実装するためのアドインツール「Office XP Web Service Toolkit 2.0」を紹介。「これを使えば、開発者はXML Webサービスの仕様を詳しく理解しなくても利用できる」と紹介した。

 吉村氏は、同ツールキットの評価用サンプルや操作手順書をセットにした「Office XP Web Service Toolkit 2.0評価キット」を利用して、デモを披露した。このデモでは、小売業の本社から店舗側が売上情報、商品情報などをXML Webサービスで取得し、店舗側のExcelの機能であるピボットテーブルなどを駆使し商品データ分析、顧客分析を行い、商品の発注書を送信するという一連の流れを行って見せた。

「これらは、評価キットに付属されているサンプルを利用したもの。開発者はToolkitを使えば、既存のアプリケーションから簡単にXML Webサービスを利用できることが身近に感じられると思う。また、VBをベースにしてXML Webサービスの技術習得にもつながる」

「ユーザーにとっては、データアクセスによって複数のアプリケーションを使い分けるより、Officeという使い慣れたアプリケーションに統合して利用できたほうがいい。ピボットテーブルなどを使ったりすれば、分析はクライアント側でも行える。必ずしも処理をサーバ側でやる必要はない」

 今までOfficeは“文房具”として利用されてきたと話す吉村氏。だが、これからはXMLを基盤に連携させ、価値創造支援のためのビジネスツールとして、また意思決定支援ツールとして活用してほしいと強調した。

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[堀 哲也,ITmedia]