エンタープライズ:ケーススタディ | 2003/03/26 23:02:00 更新 |
基本選択肢としてのERP(4)〜「ノンカスタマイズでOK」、総合力に優れるJ.D. Edwards
中堅企業をターゲットにしたERPパッケージベンダーとして知られる日本J.D.エドワーズの吉丸正俊社長に聞く。ERP、SCM、CRMなど各分野のトップアプリケーションを集めたアールエスコンポーネンツのシステムでは、ノンカスタマイズで導入されたJ.D. Edwardsが、サービスの基盤システムのコアとなっている。
米J.D.エドワーズの日本法人、日本J.D.エドワーズの吉丸正俊社長は、「ビジネス拡大のスピードが急過ぎる。(サービスの質を保つために)ブレーキをかけなてくはいけないくらいだ」と話す。
中堅企業をターゲットにしたERPパッケージベンダーとして知られる同社は、ワールドワイドの実績で、2002年度は4四半期連続で増収・増益を達成し、「IT不況」の真っ只中で下押し圧力を強く跳ね返している。主な顧客には、インテルやコカコーラ、P&G、ジョンソンエンドジョンソンなど、世界の各市場を代表する企業が名を連ねている。
「欧米志向のERPがベストプラクティスとしてそのまま日本企業に合うとは必ずしも思わない。しかし、インフラとしては必ず必要になる」と話す吉丸社長
同社が特にフォーカスするのは、エレクトロニクスおよび製造業、流通業など、自前のシステムを利用しているためにERPの普及率が低い市場だ。また、建設業など、プロジェクトに合わせた豊富なテンプレートも用意しているという。
ERPパッケージの中心となる製品は、「J.D. Edwards 5.0」。会社設立の1977年から順に、Picasso、Elegant Software、World Software、OneWorldと歩み、現在のJ.D. Edwards 5.0に至った。OneWorldまでは、製品名と企業名が結びつかないためにマーケティングとして問題があったという。
「顧客がERPを選ぶ上で、候補にも上らず“予選敗退”を喫したことも多かった。同じ土俵で比較してもらえれば、製品の質では負けない」(吉丸氏)
製品の特徴は、ビジネスプロセスを切り口にしたモジュラー型の体系。ユーザーは必要なものだけを購入でき、システム環境の変化にも柔軟に対応できるという。また、SAPなど最大手の製品と比較すると、ソフトウェアや運用を含めたトータルな運用コストが低く済むこともポイントになっている。
そして、顧客企業によりトータルなソリューションとして製品を提供するため、ERPに加えて、SCM、CRM、ビジネスインテリジェンス(BI)、SRM(Supplier Relationship Management)、EAIなどの機能を、該当するソフトウェアベンダーの買収などを通じて提供している。
中堅企業向け市場には、先日、SAPが本格的に参入することを表明した。大企業には既にERP導入が進んできており、中堅市場は「次のドル箱」として、各ベンダーがシェア獲得を視野に入れている。
「(SAPやオラクルなど最大手の中堅市場進出について)脅威に感じている」と吉丸氏は本音を漏らす。だが、基本的には歓迎しているようだ。こうしたベンダーが参入することで、市場のパイが広がるからだ。吉丸氏は、TCOで見た場合、J.D.Edwardsの製品は導入期間も短く、運用コストもずっと低いため、実際に争った場合、SAPにも負けないとしている。さらに、今後は大企業向けの製品提供にも力を入れていくと話している。
また、同社は、IBMと25年にわたる戦略的なパートナー関係を結んでおり、IBMの主要ISV6社のうちの1つに位置づけられている。IBMは、J.D. Edwards向けにチューンアップした「IBM eServer for J.D. Edwards」も開発した。
導入事例
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[怒賀新也,ITmedia]