エンタープライズ:ニュース 2003/04/30 20:07:00 更新


「マネージング・オン・デマンドがIT管理を根本的に変える」とCA

米コンピュータ・アソシエイツ(CA)はNetWorld+Interop LasVegas 2003において、ユーティリティコンピューティングを実現する新構想「マネージング・オン・デマンド・コンピューティング」を発表した。

「多くの企業ではリソースが最適化されておらず、十分に活用されていない。そこには“管理”が欠けているのだ」――米コンピュータ・アソシエイツ(CA)の会長兼CEO、サンジェイ・クマー氏は、NetWorld+Interop LasVegas 2003の基調講演の中で、企業が今抱えている問題点をこのように指摘した。

 この現状に対するCAの回答が、「マネージング・オン・デマンド・コンピューティング」というコンセプトである。管理者が問題を発見してから計画を立て、設定作業を行い、サービスレベルを実現すべくチューニングしていくというやり方の代わりに、システム自身が自ら状況を把握し、サービスに応じてリソースを割り当て、設定が自動的に行われる。これにより、システム運用管理の負担が軽減できるのはもちろんだが、重要なのはむしろ、リソースを最大限に活用しながら、必要なサービスを速やかに実現できることだ。

「たとえどこにいようと、いつであろうと、ユーザーは使いたいサービスを利用できるようになる。しかもその際にどのプラットフォームを使っているかを気にかける必要はない」(クマー氏)。

 いわゆるオン・デマンド・コンピューティングは、ITリソースを電気や水道と同じ“ユーティリティ”として利用できるようにするという概念だ。CAのマネージング・オン・デマンド・コンピューティングは、名称のとおり、これにさらに「管理」という概念を付け加えることを目指したものである。

 この分野には、既にIBMやヒューレット・パッカード(HP)といった企業が参入している。クマー氏も、これら競合他社が「オートノミック・コンピューティング」「e-ビジネス・オン・デマンド」や「アダプティブ・インフラストラクチャ」といった独自のコンセプトを打ち立てていることはもちろん承知している。

 しかし同氏は、他社のコンセプトは、まだ十分に約束を果たせていないと指摘。その上、新しいハードウェアの導入が必要だったり、特定のプラットフォームに限定されてしまうことも問題だという。

 これに対し同社のマネージング・オン・デマンド・コンピューティングは、ITインフラを入れ替えることなく、既存のインフラを管理することによって実現される。しかもそのインフラが、例えばサンのサーバであろうと、IBMやHPのものであろうと関係ない。同氏は、サービス志向の管理によってはじめて、ITリソースを柔軟に、ニーズに応じて利用できるようになるとした。

 マネージング・オン・デマンド・コンピューティング構想は、2つの段階を経て進められるという。まず第1ステップでは、企業内でITリソースのユーティリティ化を実現する。そして次のステップでは、企業という枠を超え、さまざまな地域にまたがるコミュニティレベルでのオン・デマンド・コンピューティングを目指す。ここでは、管理という機能ももちろんだが、同時にグリッドコンピューティング技術が大きな役割を果たすことになる。

「われわれはただビジョンを語っているのではなく、マネージング・オン・デマンド・コンピューティングを現実のものにしていく」(同氏)。

管理に根本的な変化を

 同じく4月29日に行われたプレス向け説明会では、マネージング・オン・デマンド・コンピューティングを実現すべく、ネットワーク/インフラ管理システム「Unicenter」ブランドの新製品群が発表された。「今回の発表は、管理のあり方を根本から変えるものだ」とクマー氏は述べている。

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背景に置かれた「Unicenter」の垂れ幕にも「マネージング・オン・デマンド・コンピューティング」の文字が加わった

 今回リリースされた6つの製品の中でも重要なものが「Unicenter Network and Systems Management(Unicenter NSM)3.1」だ。他のUnicenter製品やサードパーティ製のツールから管理情報を収集し、「サービス」に沿って一元的なビューを提供する。また同時に発表された「Unicenter NSM Dynamic Reconfiguration Option」を組み合わせれば、IT管理がどうこうというレベルではなく、ビジネス上の視点からサービスレベルの監視が可能だ。さらに、今後のサービス提供に必要なリソースを予測した上で割り当てるといった作業を自動的に行えるようになるという。

 他にも、OSやアプリケーションの配布と自動修復をサポートする「Unicenter Software Delivery 4.0」や企業全体の資産管理を可能にする「Unicenter Asset Management 4.0」、機器やアプリケーションとヘルプデスクとの間を自動的に結ぶ「Unicenter ServicePlus Service Desk 6.0」などがリリースされている。

 なお同社の説明によると、今後セキュリティやストレージ管理といった機能が、この管理インフラストラクチャの中に統合される可能性もあるという。

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関連リンク
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[高橋睦美,ITmedia]