エンタープライズ:ニュース 2003/04/30 21:32:00 更新


シスコが無線LAN対応IP電話機を披露、「生産性向上の有力なツールに」

シスコシステムズはNetWorld+Interop LasVegas 2003の会場で、無線LANに対応したIP電話機「Cisco IP Phone 7920」を披露した。

 シスコシステムズはNetWorld+Interop LasVegas 2003の会場で、無線LANに対応したIP電話機「Cisco IP Phone 7920」を披露した。4月29日に行われたジョン・チェンバース社長兼CEOの基調講演でも、デモンストレーションの一部に利用され、会場の喝采を浴びたものだ。

 Cisco IP Phone 7920は802.11b(Wi-Fi)に対応しており、見た目はやや大きめの携帯電話端末といった印象だ。米国での価格は590ドルで、6月より出荷が開始される。

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新製品の「Cisco IP Phone 7920」。このまま携帯電話としても利用できないか? との問いには「検討します」とのこと

 シスコのIPコミュニケーション部門のマーケティング担当ディレクタ、トロイ・トレンチャード氏によると、音声品質は、有線イーサネット対応のIP Phoneとほとんど変わらないという。というのも、Cisco IP Phone 7920と無線LANアクセスポイントの「Aironet」の両方がQoS機能をサポートしているからだ。また、現在IEEEで仕様策定が進んでいる無線LAN環境向けのQoS仕様、802.11eについても、仕様が策定され次第サポートし、より優れた音声品質の実現を目指すという。同時にセキュリティ仕様のサポートも積極的に進める方針。

 この第1世代の製品は、標準バッテリで通話時3時間半、待ち受け時は21時間まで動作するという。ただし「携帯電話に比べればバッテリーのもちが短いのは確か」(トレンチャード氏)で、別途大容量バッテリを提供するほか、今後の製品で改良を進めていくということだ。

 最近では、携帯電話の海外ローミングが可能だが、この製品でも同様のことが実現できる。しかも、VPN網を経由することで、通話料が携帯電話より安価になるだけでなく、IP Phoneならではのさまざまな機能が利用できることが特徴という。

Call Managerとの連携

 シスコは同時に、コストパフォーマンスに優れたローエンドのIP Phone製品「Cisco IP Phone 7905G」の姉妹製品として「同7902G」「同7912G」も発表している。

 Cisco IP Phone 7502Gは完全にコスト重視のモデルで、画面ディスプレイを省き、その分価格を130ドルに抑えた。一方Cisco IP Phone 7912Gは、7940や7960に比べると小さいがディスプレイを搭載するほか、小型イーサネットスイッチを搭載しており、PCをその先に接続できるようになっている。

 トレンチャード氏によると、一連のIP Phone製品群は確かにやや高価かもしれないが、従業員の生産性向上をもたらす有用なツールになるという。

 その鍵となるのが、XMLのサポートと、Cisco Call Managerとの連携によるTAPI/JTAPIへの対応だ。Call Managerを活用すれば、いわゆるユニファイドメッセージングが可能となるほか、電話機のディスプレイにさまざまな情報を配信することができる。さらに、「例えば、在庫アプリケーションを連携させ、XML形式でIP Phoneに情報を配信することを考えてほしい。こうすれば小売店の店頭などで、わざわざPCを立ち上げることなく、電話を操作するだけで最新の在庫情報を入手できるようになる」(同氏)。

「IP Phoneは、データと音声の統合によって通信コストを削減するだけではない。もっと生産性を向上させる効果ももたらすのだ」(トレンチャード氏)。

 なおこれに先立ち米スペクトラリンクでは、やはり無線LAN(802.11b)に対応した企業向けIP電話機「NetLink e340」「NetLink i640」を発表している。価格はそれぞれ399ドル、599ドルだ。NECアメリカでは、スペクトラリンクより両製品のOEM提供を受け、独自のIP拡張を施した上で販売していく計画という。

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[高橋睦美,ITmedia]