エンタープライズ:ニュース 2003/05/01 17:28:00 更新


法人化したJPCERT/CC、アジア太平洋地域の中核を目指して再発足

これまで任意団体として活動してきた「コンピュータ緊急対応センター」(JPCERT)が、3月18日付で有限責任中間法人格を取得し、「JPCERTコーディネーションセンター」(JPCERT/CC)として再スタートを切ったことを発表した。

 新しいJPCERT/CCの代表理事には奈良先端科学技術大学院大学教授の山口英氏が、理事として歌代和正、佐野晋、鈴木裕信、真鍋敬士の各氏が就任した。

 都内で開催された説明会の席上で、山口代表理事は「法人化することによって、これまで以上に中立な立場で活動をしていく。機密性を含む情報を一元管理するとともに、日本におけるインシデントや脆弱性情報受信のコンタクトポイントとして、日本国内のドメインや組織を超えた協力体制を強化する」と述べた。

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新たに代表理事に就任した山口英氏


 今後JPCERT/CCは、「定点観測事業」と「IODEF(インシデントオブジェクト記述フォーマット)実装運用事業」を新たに事業展開していくとのこと。定点観測事業については、不正侵入検知システム(IDS)を利用した定点観測により、ウイルスのフットプリントや新たなインシデントの発生を事前に察知して防御するとともに、アジア太平洋地域ですでにスタートしている定点観測事業とのデータ統合を目指すことになる。これにより、地域レベルでのインシデント発生状況を把握する。またIODEF実装運用事業については、「IODEF」を実装したツールや、データベースの開発/運用を行っていくほか、現在IETF(Internet Engineering Task Force)で策定されているIODEF仕様の標準化プロセスへ働きかけて、2バイト圏でのキャラクターセットの問題を解決していくとのこと。

 説明会では同時にAPCERT(Asia Pacifig Computer Emergency Response Team)の発足報告も行われた。2003年3月に台湾で開催された「APSIRC 2003」において正式に発足したAPCERTだが、今後は各国に存在するCSIRT(コンピュータ セキュリティ インシデント レスポンス チーム)のクオリティを向上させるとともに、APCERTを通じてアジア太平洋地域での情報セキュリティ分野の協力関係を強化することになる。

関連リンク
▼JPCERT/CC
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[ITmedia]